セイラン(その他表記)Argusianus argus; great argus

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セイラン」の意味・わかりやすい解説

セイラン
Argusianus argus; great argus

キジ目キジ科。雄の全長約 2m,雌は約 80cm。体形クジャクに似るが,羽色は比較的地味で,全体灰褐色地に細かな黒斑があり,顔から頸は青く,頭上と後頸は黒色で,頭上に小さな冠羽(→羽冠)がある。雄では次列風切(の羽の一部)が非常に幅広く,長く伸びて各羽の羽軸に沿って眼状紋が一列に並んでいる。尾羽は中央 2枚が特に長く 1.4mもある。ディスプレイは長く伸びた腰の羽を使うクジャクと違って尾羽と眼状紋のある翼の羽を扇状に広げて行なう。マレー半島スマトラ島ボルネオ島に分布するが,生息数が減少し,ワシントン条約付属書IIにあげられ,飼鳥として輸入するには原産国の許可が必要である。近縁種カンムリセイラン Rheinartia ocellata は別属で,ベトナムマレーシアに分布し,近年絶滅の危機に瀕している。

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改訂新版 世界大百科事典 「セイラン」の意味・わかりやすい解説

セイラン (青鸞)
argus pheasant
Argusianus argus

キジ目キジ科セイラン属の鳥。1属1種。雄の最大体長は2mもあるが,これは尾羽の中央2枚が帯状に長く,1.4mに達するためである。翼の次列風切も1mと長く,初列風切も50cmもある。これは求愛行動時の誇示飾羽として特殊化したもので,飛翔(ひしよう)能力を犠牲にしている。羽色は全身が褐色の地にベージュ小斑,黒色とベージュの線斑があり,長く幅の広い次列風切外弁には,黒輪に囲まれた黄褐色の円眼斑が並ぶ。長い尾羽は灰色および栗色に,白色の小斑がある。雌は尾羽が長くない。マレー半島,スマトラ,ボルネオの森林中に生息する。繁殖期の雄は,直径4mほどの場所を掃除して,求愛のための誇示行動を行う。その際,次列風切を扇のように広げて,眼状斑をとくに目だたせる。1腹の卵数は2個で,茶色の地に赤みがかったベージュの斑がある。抱卵日数は24日間。飼育下でも容易に繁殖する。近縁種のカンムリセイランRheinardia ocellataは,マレー半島の山地とインドシナ半島の山地の森林中に生息する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「セイラン」の意味・わかりやすい解説

セイラン
せいらん / 青鸞
great argus
argus pheasant
[学] Argusianus argus

鳥綱キジ目キジ科の鳥。マレー半島、スマトラ島、ボルネオ島の海抜1200メートル以上の人間の入らない熱帯林にすむ。雌雄二型。雄は、全長約180センチメートル、そのうち尾が130センチメートルを占める。全身ほぼ暗褐色であるが、頬(ほお)から頸(くび)にかけて青い肌が露出し、青黒色の冠毛がある。胸は赤みが強い。次列風切(かざきり)も非常に大きく長く伸びており、英名学名の由来になったギリシア神話の巨人アルゴスの目を連ねたような円形の斑(はん)が1列に並んでいる。雌は体もやや小さいが、尾長33センチメートルと尾がずっと小さく、全長約80センチメートル。次列風切もとくに長くない。地上で木の実、葉、昆虫などをとる。警戒心が強いが、雄の大きな叫び声で密林中でも存在を知ることができる。近縁の種としてカンムリセイランRheinartia ocellataがおり、全長210センチメートルのうち尾長150センチメートル、野鳥のうちで最大の尾羽の持ち主として知られる。なお、この両種が中国の伝説上の鳥「鳳凰(ほうおう)」のモデルと考えられている。

[竹下信雄]

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百科事典マイペディア 「セイラン」の意味・わかりやすい解説

セイラン

キジ科の鳥。体形はクジャクに似て翼長50cm,雄の尾羽は長く140cmに達する。雌雄で色彩が異なり,雄の体は褐色で暗色の斑紋が密在し,翼羽には眼状紋が並ぶ。頭側と頸は青色。タイ,マレー地方に分布し,森林にすむ。繁殖期に雄は翼や尾を広げてディスプレーを行う。近縁のカンムリセイランは後頭部にかなり長い羽冠をもち,想像上の鳳凰(ほうおう)の本体とされる。

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