タウラー(英語表記)Johannes Tauler

精選版 日本国語大辞典 「タウラー」の意味・読み・例文・類語

タウラー

(Johannes Tauler ヨハネス━) ドイツの神秘思想家。ドミニコ会士。バーゼルケルンなどで説教者として活躍自ら霊魂の内にもどるという内的浄化を説き、ルター、ミュンツァーらに影響を与えた。(一三〇〇頃‐六一

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「タウラー」の意味・わかりやすい解説

タウラー
Johannes Tauler
生没年:1300ころ-61

エックハルトゾイゼとならぶ中世ドイツの神秘家。ドミニコ会士。ストラスブールに生まれ,ケルンで学び,このとき〈尊敬すべき師〉エックハルトの講義をきいたと推定される。学者であり汎神論者のそしりを受けたエックハルトに対し,タウラーは学問神学とは無縁な日々の生活の実践という次元での魂の救済力点をおき,バーゼル,ケルン,ストラスブールなどで説教者として活躍し,〈神の友〉の運動をみちびいた。俗世,とくに自我からの離脱,〈自己の無のこよなく深い底に沈む〉内面への道を説き,その手本イエスの生涯に仰いだ。無と化した魂の底に神の光が生まれるというミスティクの核心の教えは,豊かなイメージによって大胆に表現され,中世教会の教条主義から自由になった15,16世紀のヨーロッパにおいて,その本来秘める力をあらわし,ルター,ミュンツァー,ワイゲル,その他多くの敬虔主義者たちにはかり知れない大きな影響を与えた。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「タウラー」の意味・わかりやすい解説

タウラー
たうらー
Johannes Tauler
(1300ころ―1361)

中世ドイツの神秘主義者。ストラスブール(シュトラスブルク)に生まれ、ドミニコ会士となる。ケルンに学んでエックハルトの影響を受け、「魂の根底」における神の受容を説いたが、また急進的思弁を避け、人間の被造物性という正統的教義の枠内にとどまった。総じてその神秘主義は、知的よりは実践的な性格が強く、正しい内面生活は、単なる善き業(わざ)をも、横溢(おういつ)する感情をも避けるところにあるという。ルターをも含めて、後世に少なからぬ感化を及ぼした。

[田丸徳善 2015年1月20日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タウラー」の意味・わかりやすい解説

タウラー
Tauler, Johann

[生]1300頃.シュトラスブルク
[没]1361.6.16. シュトラスブルク
ドイツの神秘思想家,説教家。 1315年ドミニコ会修道士,25年ケルン大学に学び,エックハルトとゾイゼの影響を受けた。 39年バーゼル,47年シュトラスブルク,50年ケルンで説教家として活動した。この間,48年のペスト流行にあたっては病者の看護に献身。神学的にはトマス・アクィナスの立場に立ったが,キリスト者としての内面的形成を強調し,信仰,神学,教会制度の本質を深く認識した点に特色がみられ,一方その神秘思想においては,神の霊魂への内在,神秘的上昇の道が語られるとともに,神との一致のもたらす愛と謙遜の徳が強調されている。 M.ルター,J. S.バッハ,A.ショーペンハウアーらに影響を与えた。主著『説教集』 Predigten (1348) 。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「タウラー」の意味・わかりやすい解説

タウラー

ドイツの神秘家。シュトラスブルクに生まれ,1315年ドミニコ会入会,ケルンでエックハルトに師事。師およびゾイゼと並称されるドイツ神秘主義の代表者。実践を重んじる説教家として活動,〈魂の底に生まれる神の光と言葉〉に従うことを強調した。ルター,ミュンツァーらへの影響大。
→関連項目ドイツ神秘主義

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のタウラーの言及

【エックハルト】より

…このような説教のうちに危険な影響力を見た教会当局は,遂にエックハルトの没後29年3月,その基本的諸命題の異端性を宣告した。しかしエックハルトの精神は直弟子J.タウラーおよびH.ズーゾーを通して受けつがれ,ドイツ神秘主義の系譜をなして生きつづけた。人格神への伝統的信仰が困難に出会い,また東西両世界が深く触れ合いつつある現代,彼の思想があらためて注目されている。…

【ドイツ神秘主義】より

…中世後期から近世にかけて,一連の系譜をなすドイツ人神秘家たちによって担われたキリスト教神秘主義の歴史的形態。狭義には,14世紀前半のエックハルトゾイゼタウラーを中心にした活動とその思想をさし,広義には,その3者以前のビンゲンのヒルデガルトやマクデブルクのメヒティルトMechthild von Magdeburg(1210ころ‐82か94)などの女性神秘家たち,および3者以後その精神をさまざまな変容において継承・展開したニコラウス・クサヌスベーメ,さらにはドイツ・ロマン主義のノバーリス,ドイツ観念論のフィヒテ,シェリングなどに及ぶ精神的系譜を総称する。ドイツ神秘主義は,キリスト教史の枠を越えてヨーロッパ精神史を貫流する一大潮流をなしている。…

※「タウラー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

姥桜

1 葉が出るより先に花が開く桜の通称。ヒガンザクラ・ウバヒガンなど。葉がないことを「歯無し」に掛けた語という。2 女盛りを過ぎても、なお美しさや色気が残っている女性。[類語]オールドミス・老嬢...

姥桜の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android