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タカラガイ タカラガイCypraeidae; cowrie; cowry

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

タカラガイ
Cypraeidae; cowrie; cowry

軟体動物門腹足綱タカラガイ科の巻貝の総称。幼貝では,殻口は広く,外唇は薄くて刻みがなく,小さい螺塔をもつ。成長すると,外唇は殻口内のほうへ曲って殻口をせばめ,また殻表を左右から包む外套膜は滑層を分泌して厚くなり,螺層は滑層に隠れて見えなくなる。殻表には光沢のある美しい各種特徴のある模様ができる。世界に約 200種,そのうち日本に約 80種が知られる。おもに太平洋,インド洋の熱帯海域に分布し,浅海に多くの種が生息するが,数百mの深海底にすむ種もある。本科には,古くから貨幣として使われてきたキイロダカラ,安産の守り神とされたハチジョウダカラフィジーでは首長がその地位を誇示するのに用いたナンヨウダカラなどがある。殻が美しいので収集家も多く,シンセイダカラ,オウサマダカラは世界的稀種とされており,一方日本産のオトメダカラ,ニッポンダカラ,テラマチダカラなどもその数が少く,高価で売買されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

タカラガイ
たからがい / 宝貝
cowry

軟体動物門腹足綱タカラガイ科に属する巻き貝の総称。この科Cypraeidaeの仲間は世界に約200種を産し、そのうち日本には約75種が知られている。おもに熱帯地方の浅海に多く、300メートルぐらいの陸棚帯にすむ種もある。幼貝では殻が薄く、螺塔(らとう)があり、殻口も広く、殻口両側の刻みもない。成長するにつれて殻口の外唇は内方へ巻き込んで殻口を狭め、内外唇に刻みができる。また、殻を包む外套(がいとう)膜は殻表に幾重にも滑層を分泌して、殻は年齢とともに厚くなり、幼貝とは異なった模様を呈し、表面の光沢が強い。螺塔は滑層の下に隠れて見えなくなる。
 タカラガイの貝殻は古来呪術(じゅじゅつ)的な価値と経済的価値を備え、アフリカやインドシナ半島では近年まで貨幣としても用いられた。コンゴ民主共和国(旧ザイール)のキンシャサ奥地のクバ人の例では、1850年ごろはニワトリ1羽がタカラガイ10個、女の奴隷は1000個と交換された。しかし100年後には、ポルトガル人が大量にタカラガイを持ち込んで、流通量が増したため、貝の価値が下落してニワトリ1羽が400個に相当したといわれる。日本ではハチジョウダカラガイなどはコヤスガイ(子安貝)といわれ、安産の守りとする地方がある。また、ナンヨウダカラガイは、フィジー諸島では首長(しゅちょう)だけが飾りに用いる。シンセイダカラガイ、オウサマダカラガイなどは世界的な珍種で、テラマチダカラガイ、ニッポンダカラガイ、オトメダカラガイ、クロユリダカラガイは日本での珍種であり、高価で売買される。[奥谷喬司]

民俗

『竹取物語』で、かぐや姫が求婚者の1人に、ツバメの腹にもつこの貝を所望するのはよく知られている。子安貝ともいうので、安産や育児に伴う呪物(じゅぶつ)とされ、また蔵骨器(ぞうこつき)に入っていた例も鹿児島県伊佐(いさ)市など数例あることから、生命力の再生を願う呪具としての観念もあったらしい。柳田国男(やなぎたくにお)は『海上の道』(1961)でこの貝の重要性を指摘しているが、アジア、アフリカ、アメリカの先住民族は先史時代からこの貝殻を貝貨として用い、ニューギニアのモニ人は最近まで貨幣として使用していたという。[矢野憲一]

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