原動機として蒸気タービンまたはガスタービンが使われる同期発電機(交流発電機)。電力系統の主要発電所用や非常用電源として設置されることが多い。通常、タービン発電機という場合は火力発電用の大型の発電機をさす。これに対して水力発電water turbineや風力発電wind turbineで使われる発電機はタービン発電機とはよばず、それぞれ水力発電機、風力発電機とよぶ。
[森本雅之]
タービンは高速で高効率なので、タービン発電機はタービンの軸に直結(小容量のものは歯車を介して結合することもある)され、高速度で運転される。その軸は横軸で2極とする例が多く、50ヘルツの交流を発電する場合の速度は毎分3000回転(60ヘルツの場合は3600回転)というように、水車発電機やエンジン発電機に比べ、高速である。
発電機1台の容量は、小さいものでも1万キロボルトアンペア、最大級のものでは100万キロボルトアンペア以上に達するものもある。高速で運転するために、水車発電機に比べ直径が小さく、軸方向に長くした構造にする。
タービン発電機は世界中の火力発電、原子力発電に使われ、電気エネルギーを得るための中心的な発電機である。
[森本雅之]
タービン発電機の冷却方法には、大きく分けて(1)空気冷却方式、(2)水素ガス冷却方式、(3)水冷却方式の3種類がある。
自家発電等の100メガボルトアンペア以下の発電機では空気冷却方式が一般的である。事業用発電プラントなど100メガ~1000メガボルトアンペア級のタービン発電機では、冷却効果のある水素冷却方式を採用することが多い。水素冷却方式は機体全体を水素ガス中に置くために、水素ガスを封入したものである。水素ガスは冷却効果が高く、同じ寸法、同じ回転速度の発電機では、空気中での運転に比べ出力が約2倍に増加する。さらに、タービン発電機は回転速度が高いため風損(回転部が空気と摩擦するために生ずる損失)が大きい。水素冷却式にすると、空気中での運転に比べ、風損を約10分の1に減らすことができるので効率を1~2%高めることができる。しかも、水素ガス中には酸素がないため、絶縁物の劣化が少なく、さらに密閉構造のため、騒音が少なくなる。なお、空気冷却方式および水素冷却方式は間接冷却方式とよばれる。
一方、水冷却方式は直接冷却方式とよばれる。固定子の巻線の部分に中空のチューブを組み込んでおき、これに冷却水を通す方式である。水冷却方式は純水を用いるため導体を直接水冷することができる。水冷却式にすればさらに冷却能力が向上するので大容量の発電機で用いられる。しかし、純水装置、循環装置などの設置が必要なので、大型でも水素間接冷却を採用することが多くなっている。なお、回転子の巻線には水直接冷却をすることはほとんどない。
[森本雅之]
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[発電機]
蒸気タービン中において蒸気は高速で流れるため,タービンの速度も高速となる。このため蒸気タービンに直結される発電機(タービン発電機という)も50Hz系では毎分3000回転,60Hz系では毎分3600回転のいわゆる二極機がおもに用いられるが,クロスコンパウンド機の低圧タービン側には,その1/2の速度の毎分1500回転機や,1800回転機,すなわち四極機が用いられることもある。タービン発電機の回転軸(これを回転子という)は遠心力に耐えるため横置の細長い円筒形が採用される。…
…最近の揚水発電所用発電機では,揚水時には発電機を電動機として動作させ,その動力で水車をポンプとして使用して下池の水をくみ上げ,発電時には上池の水を下池に落とし,水車,発電機として動作させている。火力発電所や原子力発電所で用いられるタービン発電機は,50Hzまたは60Hz用によりそれぞれ毎分3000または1500回転,3600または1800回転という高速で回転するために,遠心力に耐えるよう長くて比較的直径が小さく界磁巻線を埋め込んだ円筒形回転子を用いている。往復動型の内燃機関で駆動される発電機は,トルクの変化に対しても安定に動作するように,大きなはずみ車が付加されている。…
※「タービン発電機」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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