ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ツェムリンスキー」の意味・わかりやすい解説
ツェムリンスキー
Zemlinsky, Alexander
[没]1942.3.15. アメリカ合衆国,ニューヨーク,ラーチモント
オーストリアの作曲家,指揮者。作曲と指揮の両分野で卓越した技能を発揮し,いまなお高く評価されている。1887~92年,ウィーン音楽院に学んだ。1893年に作曲した数曲の室内楽作品がヨハネス・ブラームスなどに注目された。1895年にアルノルト・シェーンベルクに出会って生涯の友人となり,のちに義理の兄弟となった。1904年からウィーン市民歌劇場(フォルクスオーパー・ウィーン)でオペラの指揮をするようになり,1906~11年には同歌劇場の楽団長(カペルマイスター)を務めた(ウィーン宮廷歌劇場で指揮をした 1907~08年度を除く)。また 1904年,シェーンベルクとともにウィーンの新音楽(新ウィーン楽派)を紹介し,創造的音楽家協会を設立した。1911~27年チェコのプラハ・ドイツ国立劇場のオペラ指揮者,1927~30年ベルリンのクロール歌劇場(クロール・オペラ)の楽長。1933年までベルリン高等音楽院で教鞭をとった。1933年ウィーンに戻り,1938年アメリカ合衆国へ移住。オペラ作品 10作のうち,知名度が高い『フィレンツェの悲劇』Eine florentinische Tragödie(1915~16)と『こびと』Der Zwerg(1920~21,別名『王女の誕生日』Der Geburtstag de Infantin)はいずれもオスカー・ワイルドの著作の脚色作品。代表的な交響曲はソプラノ,バリトン,管弦楽のための『抒情交響曲』Lyrische Symphonie(1923)。歌曲作品のなかではモーリス・メーテルランクの詩による歌曲集(1910~13)がよく知られる。合唱曲,管弦楽曲,ピアノ曲,室内楽曲も有名。
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