ディメトロドン(読み)でぃめとろどん(その他表記)dimetrodon

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ディメトロドン」の意味・わかりやすい解説

ディメトロドン
でぃめとろどん
dimetrodon
[学] Dimetrodon gigas

古生代ペルム紀(二畳紀)前期ないし中期の、約2億9900万年~2億6040万年前にいた初期の哺乳類型爬虫類(ほにゅうるいがたはちゅうるい)の一つで、盤竜目のなかの1属。北アメリカ大陸に分布し、肉食性で、全長約3メートル。背骨上方の棘(きょく)突起が極端に長くなり、背中の中央でもっとも長く、この動物の背に縦に帆をかけたような異様な姿をしていた。この帆は大量の血液が供給されるようになっていて、ラジエーターのように体温の調節をつかさどり、体の表面積を大きくして体を温めたり冷やしたりするのに役だてたという説がある。体長に比べて比較的大きな頭骨(約45センチメートル)の前部に生えていた歯は大きく短剣状であった。頭骨の幅が狭く丈が高いことは、口を大きく開けたり閉じたりするための強い顎筋(がくきん)が発達していたことを示す。水辺にいたらしく、骨は浅い川にたまった堆積(たいせき)物から、魚の骨に混じって発見された。

[小畠郁生]

『J・C・マクローリン著、小畠郁生・平野弘道訳『消えた竜』(1982・岩波書店)』『金子隆一著『哺乳類型爬虫類――ヒトの知られざる祖先』(1998・朝日選書)』


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改訂新版 世界大百科事典 「ディメトロドン」の意味・わかりやすい解説

ディメトロドン
Dimetrodon

単弓亜綱の盤竜目に属し,頭骨の側頭窓が左右1対だけの爬虫類。原始的な爬虫類と哺乳類との間に位置する動物で,哺乳類型(様)爬虫類と呼ばれる。肉食性の盤竜類スフェナコドン亜目Sphenacodontiaの1属で1878年にE.D.コープが命名した。北アメリカのテキサスからオクラホマ地域に分布する二畳系から知られている。10種類ほど含まれる。頭骨は大きく細長くて高い。目は後方に位置する。松果体孔が一つある。鋭い歯が顎の周辺部に植立し,顎骨前部の歯は大型で犬歯状となる。口蓋の内側にも歯がある。椎骨は原始的な両凹形amphicoelousで,間椎心がある。頸椎から仙骨までの棘(きよく)突起が長大となり,背中の中央で最大となる。薄い膜状の皮膚に覆われて帆状を呈していたと考えられている。この機構については,性的二形,体温調節威嚇による防衛のためなどの説明がある。四肢がかなり発達している。この仲間は三畳紀の獣弓類に続く主流となった。
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百科事典マイペディア 「ディメトロドン」の意味・わかりやすい解説

ディメトロドン

ペルム紀後期の陸生哺乳(ほにゅう)類型爬虫(はちゅう)類。体長4m。エダフォサウルスに似て大きな扇形の帆を背中にもつ。肉食。化石は浅い川にできた地層中から,しばしば魚の骨とともに発見されるので,水辺にすんだと考えられている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ディメトロドン」の意味・わかりやすい解説

ディメトロドン
Dimetrodon

爬虫類盤竜目に属する化石属。体長1~3m,トカゲ状で尾が長く,脊椎骨に特徴があり,棘状突起が極端に長く伸び,背中に背鰭状の膜質があったものと想像される。ペルム紀初期に北アメリカに分布。

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