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ニトリル nitrile

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ニトリル
nitrile

シアン基をもつ有機化合物の総称。一般式は R・C≡N で表わされる (Rはアルキル基またはアリール基) 。臭化アルキルシアン化カリウムから合成される。加水分解によってカルボン酸になり,還元によってアミンになるので,カルボン酸,アミンの合成原料として重要である。

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百科事典マイペディアの解説

ニトリル

一般式R−C≡N(Rは炭化水素基,−C≡Nはシアノ基)で表される化合物の総称。アセトニトリルCH3CN,アクリロニトリルCH2=CHCNなどが代表的な例。
→関連項目イソニトリル

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栄養・生化学辞典の解説

ニトリル

 カルボニトリルともいい,一般式RCNで表される化合物の総称.加水分解でカルボン酸を生成し,また還元すると一級アミンを生じる.

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世界大百科事典 第2版の解説

ニトリル【nitrile】

炭化水素基にシアン基-C≡Nが結合した化合物の総称で,シアン化物ともいう。一般式R-C≡N。イソニトリルR-N=Cとは異性体の関係にある。命名法のおもなものとしては次の三つがある。(1)ニトリルをカルボン酸の誘導体とみなし,炭素数が等しいカルボン酸の慣用名の酸語尾‐ic acidの代りに‐onitrileをつけ,これを音訳する。(2)環状カルボン酸などで‐carboxylic acidと呼ばれるときには‐carbonitrileとする。

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大辞林 第三版の解説

ニトリル【nitrile】

シアノ基(ニトリル基) -CN が炭化水素基と結合した有機化合物の総称。アクリロニトリル・ベンゾニトリルなど、ハロゲン化炭化水素とシアン化カリウムとの反応で生成する。加水分解すればカルボン酸を生じ、還元すれば第一級アミンを生じる。カルボニトリル。 → シアン

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ニトリル
にとりる
nitrylnitrile

化学物質の一般名。無機化学でニトリル(nitryl)とよばれているものと、有機化学でニトリル(nitrile)とよばれているものがあるが、これらは英語名が異なることからわかるように、まったくの別物で、日本語に訳したときに同じ訳名になってしまったものである。有機化学のニトリルをカルボニトリル(carbonitrile)とよべば両者を混同することはない。[廣田 穰]

無機化学

無機化学の分野では、NO2の原子団をニトリルとよんでいる。したがって以前はNO2+で表される1価陽イオンはニトリルイオンとよばれていた。現在、IUPAC命名法ではこの陽イオンを「ニトリルイオン」とよぶのは不適当とされ、「ジオキシド窒素イオン」と命名されている。しかし、フリーラジカルや置換基の名前としては「ニトリル」が残っている。
 ハロゲン化ニトリルNO2X(Xはフッ素F、塩素Cl、臭素Br)は共有結合性の無色の気体で、フッ化ニトリルは沸点零下72.4℃、塩化ニトリルは沸点零下15℃であり、100℃では二酸化窒素と塩素とに分解する。そのほか(NO2)ClO4、(NO2)BF4、(NO2)PF6などが知られており、これらはイオン性の結晶である。また、五酸化二窒素N2O5も同様に(NO2)+(NO3)-であることが知られている。一般に加水分解によって硝酸を生ずる。
  (NO2)ClO4+H2O
   ―→HNO3+HClO4[加治有恒・廣田 穰]

有機化学

有機化学ではNO2+をニトロニウムイオンといい、通常はニトリルイオンとはいわない。炭素骨格Rにシアノ基-C≡Nが結合した化合物R-C≡Nをニトリルnitrileまたはカルボニトリルcarbonitrileとよぶ。芳香族ニトリル(表1-1表1-2)と脂肪族ニトリル(表2-1表2-2)に大別される。[加治有恒・廣田 穰]
命名法
おもな命名法に次のようなものがある。
(1)ニトリルR-C≡Nを加水分解するとカルボン酸を生ずるので、ニトリルをカルボン酸の誘導体とみなして、炭素数が等しいカルボン酸の慣用名の語尾-oic acidのかわりにニトリル-onitrileをつけて命名する。は前の子音字と続けて読む。たとえば、酢酸acetic acid(CH3COOH)のニトリルはアセトニトリルacetonitrile(CH3C≡N)であり、アクリル酸acrylic acidのニトリルはアクリロニトリルacrylonitrileとよばれる。
 ニトリルのIUPAC名は、同数の炭素原子をもつ炭化水素名の語尾にニトリル(-nitrile)をつけるとできる。たとえば、CH3CH2CH2CNの名前は、同数の炭素原子をもつ炭化水素CH3CH2CH2CH3の名前「ブタンbutane」の語尾に「ニトリルnitrile」をつけて、ブタンニトリルbutanenitrile(英語では1語)になる。
(2)環状カルボン酸などで命名の基礎となるカルボン酸名の語尾が‐カルボン酸-carboxylic acidで終わっているときには、これを‐カルボニトリル-carbonitrileとかえて命名する。たとえば、シクロヘキサンカルボン酸に対応するニトリルはシクロヘキサンカルボニトリルである。
(3)ニトリルは炭化水素残基のシアン化物ともみなせるので、炭化水素基名の前にシアン化をつける。たとえば、アセトニトリルはシアン化メチル、アクリロニトリルはシアン化ビニルともよばれる。
(4)ケトンやアルデヒドにシアン化水素を付加させると得られるα(アルファ)-ヒドロキシニトリルおよびアルケンオキシドとシアン化水素の付加物であるβ(ベータ)-ヒドロキシニトリルは、シアノヒドリン(シアンヒドリン)とよばれる。アセトンのそれはアセトンシアノヒドリン、エチレンオキシドのそれはエチレンシアノヒドリンとよばれる。
[加治有恒・廣田 穰]
性質
ニトリルR-CNは、イソニトリルR-NCと異性体の関係にあるが、性質や反応性はまったく異なる。酸により加水分解すると、ニトリルは比較的遅く反応して、アミドを経てカルボン酸になるが、イソニトリルは速やかに分解して、ホルムアミドを経て第一アミンになる。ニトリルは弱い臭気をもつ安定な化合物でそれほど強い毒性はないが、イソニトリルは特異の悪臭をもつ有毒な化合物であるので、両者は容易に区別できる。ただし、アクリロニトリルのような共役不飽和ニトリルは呼吸酵素との反応性が高く有毒である。
 芳香族ニトリルは、第一アミンをジアゾ化した後、シアン化銅()を作用させると得られる。
  C6H5NH2+HNO2―→C6H5N2+
  C6H5N2++CuCN―→C6H5CN
 脂肪族ニトリル(シアン化アルキル)は、ヨウ化アルキルとシアン化カリウムをエタノール(エチルアルコール)水溶液またはジメチルホルムアミド中で加熱すると得られる。また、一般に有機酸アミドと五酸化二リンとを加熱すると得られる。

 工業的にはアルケンとアンモニアと酸素を高温で反応させてつくる。

 ニトリルをエタノール中でナトリウムと反応させるとアミンが得られる。また、乾燥塩化水素を反応させると塩化イミドイルが得られ、これは有機合成の有用な中間体である。[加治有恒・廣田 穰]

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