ノッキング(英語表記)knocking

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ノッキング
knocking

内燃機関の過負荷運転時などに,シリンダをハンマでたたくような音を発することがあり,この現象をノッキングまたはノックという。ガソリン機関とディーゼル機関ではまったく異なった原因による。ガソリン機関ではシリンダ中の混合気の燃焼後期に,残りの混合気が爆発的な異常燃焼を起し,その際の急激な圧力波によるものといわれている。圧縮比を高めること,その他の出力向上策は,いずれもノッキングを増加させる原因となり,また燃料の性質にも大いに関係がある。これが起るとシリンダの過熱,ピストンの溶損・焼付きその他の害が生じる。ガソリンのノッキングの起しにくさをアンチノック性といい,この性質を表す単位がオクタン価で,オクタン価の高いガソリンほどノッキングを起さない。ディーゼル機関の場合は特にディーゼルノックと呼ばれ,噴射された燃料が着火遅れのために蓄積され,それが一時に燃焼するために生じる現象で,急激な圧力上昇を伴い,振動・騒音の原因となり,また機械的損傷を生じることがある。使う燃料の圧縮着火性を表わすのがセタン価で,セタン価の高い燃料ほどディーゼルノックを起さない。

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百科事典マイペディアの解説

ノッキング

ノックとも。ガソリンエンジンなどの火花点火機関で生じる異常燃焼で,金属性の打撃音を生じることからこの名がある。正常な燃焼による火炎が到達する前に,未達部分の混合気が自然発火することによって起こる。激しいノッキングは出力の低下のみならず機関の損傷も引き起こす。オクタン価の高いガソリンほどノッキングを起こしにくい。
→関連項目圧縮比アンチノック剤デトネーション

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世界大百科事典 第2版の解説

ノッキング【knocking】

単にノックknockともいう。ガソリンエンジンなどの火花点火機関において起こる異常燃焼の一種。正常な燃焼による火炎が到達する前に,末端の燃料,空気混合気が自発発火することによって起こり,急激な燃焼による大きな圧力変動のために金属性の打撃音が発生するのでこの呼名がある。激しいノッキングは出力低下を招くばかりでなく,機関の損傷をひき起こすので,ノッキングの回避は火花点火機関では重要な課題である。また負荷の大きい(発生トルクの大きい)ところで起こりやすいので,機関の出力に制約を与えることにもなる。

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大辞林 第三版の解説

ノッキング【knocking】

( 名 ) スル
ガソリン-エンジンなど内燃機関で起こる、燃料・空気の混合気の異常燃焼。正常に燃焼する前の混合気の自発火で起こり、金属性の打撃音を発する。ノック。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ノッキング
のっきんぐ
knocking

往復動内燃機関のシリンダー内の異常燃焼により、槌(つち)でたたくような音を出す現象。燃料と空気の混合気は点火後火炎がシリンダー内を伝播(でんぱ)するが、伝播する火炎の前方の未燃混合気が圧縮され高温度に保持されると化学反応が急速になり、一度に多くの点で燃焼を始め、伝播火炎の到達する以前に急激に残りの未燃混合気が燃焼する。急激な燃焼によってシリンダー内に大きな圧力振動が発生し、圧力波がシリンダーを音速で往復するのに相当するような衝撃音(数キロヘルツ)が発生する。ノッキングは、圧力振動の振幅の小さい軽微なノックから圧力振幅の大きい激しいノックまであり、軽微なノックは人間が感知できる限界に近い。ノッキングの発生は、燃料(ガソリン)の化学構造によって大きく左右される。また、ノッキングをおこしにくい性質をアンチノック性とよぶ。ノッキングは、自発火をおこしやすい燃料を用いるほど、点火時期を早めたり圧縮比をあげて未燃混合気を長く高温に保つほどおこりやすい。また燃焼室の構造で伝播火炎前方の未燃混合気の冷却が不十分な場合にもおきやすい。ガソリンのアンチノック性を数量的に示す指数をオクタン価という。またノッキングを抑止する有効な添加剤(アンチノック剤という)としてテトラエチル鉛があるが、大気汚染防止のため使用は制限されている。ノッキングがおこると、圧力波により高温の燃焼ガスから多くの熱が燃焼室壁に流れるようになり、燃焼室壁の温度が上昇し、燃焼室壁の焼損、さらには排気弁などの焼損に至る。[吉田正武]

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