改訂新版 世界大百科事典 「ノビタキ」の意味・わかりやすい解説
ノビタキ (野鶲)
stonechat
Saxicola torquata
スズメ目ヒタキ科の鳥。全長約13cm。雄の夏羽は,頭部,背,翼,尾などが黒く,胸は栗色,くび側と腹は白い。翼には白斑があり,よく目だつ。雌は全体に褐色をしており,淡黄色の眉斑をもつ。雄の冬羽は雌に似るが,褐色みがより強い。ユーラシア大陸とアフリカの大部分に広く分布する。日本には夏鳥として4~5月に渡来し,本州中部以北で繁殖する。本州ではおもに山地の草原に生息し,北海道では低地の草原にもすむ。草や低木の枝から地上に飛び降りて昆虫をとらえ,枝に戻って食べる。枝から飛び立って飛翔(ひしよう)中の昆虫をとらえることもある。なわばり内の低木や電線などの目だつところでツーコーピュルピュルピィリーとさえずる。さえずり以外では,ジャッジャッという声がある。5~6月に,草の根もとに枯草で側面に入口のある巣をつくり,1腹5~7個の卵を産む。抱卵は雌が行い,育雛(いくすう)は雌雄交替で行う。渡りの季節には,平地の刈田,ヨシ原などでよく見かける。
執筆者:樋口 広芳
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報