スイスの言語学者。ジュネーブ大学教授(1913-39)。ソシュール学説を継承発展させた〈ジュネーブ学派〉の代表者の一人で,とりわけ,〈理性的文体論〉の創始者として知られている。これは,作家などが美的意図にもとづいて表現する個人的な情緒発現を対象にするものではなく,日常的な言語の〈実現化〉一般の科学的研究であるとされた。したがって,彼の言う〈情的価値valeur affective〉とは,ラングからパロール,抽象的・潜在的な概念から具体的・顕在的現象への移行過程において生ずるものである。この関係の著作には,《文体論提要Précis de stylistique》(1905),《フランス文体論概説Traité de stylistiquefrançaise》2巻(1909)がある。もう一つの彼の業績は,師ソシュールの共時言語学理論の精密化(《一般言語学とフランス言語学Linguistique générale et linguistique française》1932)であるが,ソシュールの未刊原稿の発見以後,バイイの解釈にはいささかの疑義が付されている。
執筆者:丸山 圭三郎
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フランスの政治家。天文学者としても著名。1783年以来アカデミー・フランセーズ会員。1789年、三部会代表となり、成立直後の国民議会の議長となり、「球戯場の誓い(テニスコートの誓い)」を主宰、バスチーユ攻略後パリ市長に選ばれる。だが、ブルジョア的利益を代弁するフイヤン派に属し、サン・キュロットと対立、ことに1791年7月のシャン・ド・マルスの虐殺ではラ・ファイエットによる弾圧の共犯者となり、パリ市民の支持を失った。同年9月、議会の解散と同時にパリ市長を辞任してナントに引退し、以後、自伝的な仕事として『革命の目撃者の覚書』を書いたが、1793年、「恐怖政治」の犠牲となって刑死した。
[樋口謹一 2017年10月19日]
スイスの言語学者。F・ド・ソシュールの高弟で、師の講義の記録をセシュエCharles-Albert Sechehaye(1870―1946)とともにまとめ、1916年に『一般言語学講義』として刊行。これより先『文体論概要』(1905)、『フランス文体論詳説』(1909~1910)を著して、表現形式と感情との関係を体系的に検討し、科学としての文体論を創始した。1932年刊行の『一般言語学とフランス言語学』は、彼の言語理論を集大成しつつ、フランス語の特質をドイツ語のそれと対比させて論じたもので、対照言語学の書としても重要である。
[竹内公誠 2018年7月20日]
『小林英夫訳『一般言語学とフランス言語学』(1970・岩波書店)』▽『シャルル・バイイ著、小林英夫訳『言語活動と生活』改訂版(1974・岩波書店)』
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1736~93
フランスの政治家,天文学者,文学者。1789年,パリ選出の第三身分代表となり,三部会に出席。同年,国民議会議長,パリ市長となる。シャン・ド・マルスの虐殺により人気を失い,91年11月市長を辞職。ナントに隠退。93年9月逮捕され,刑死。
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…内政面では,プランタジネット家やフランドル伯の支配下にあるコミューンを積極的に認可するなど,都市との結びつきを強め,定期金知行(フィエフ・ラントfief‐rente)の政策によって新たな封臣を獲得し,封建軍隊から傭兵軍隊への移行を準備した。王領管理のための行政組織として,有給官僚のバイイbailli(南西部ではセネシャルsénéchal)を新設,これを従来の世襲職たるプレボprévôt(奉行)の上位におき,最終審裁判権者として裁判の審級制を開始し,プレボの独立性を打破した。カペー家の封建王政は,彼の治世に飛躍的に発展したのである。…
…他方,近代的な文体論の成立とともに,大きな類型としての文体についても,かつての教則的な意味あいとは異なる,別の概念があらわれる。たとえば20世紀の文体論の創始者のひとりと見なされているバイイのばあいは,文体とは,社会的な言語活動の情意的側面にほかならない。すなわち,その文体論は,個人的な特徴ではなく,社会的な言語使用のなかにあらわれる表現の情意的な変異現象を記述・分析しようとするものであった。…
※「バイイ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
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