日本大百科全書(ニッポニカ) 「バリ(イタリア)」の意味・わかりやすい解説
バリ(イタリア)
ばり
Bari
イタリア南部、プーリア州の州都。人口31万2452(2001国勢調査速報値)。アドリア海に面する港湾・工業都市で、テッラ・ディ・バリとよばれる豊かな果樹栽培地帯(ブドウ、オリーブ、その他)の中心地でもある。市は小さな岬の中心として形成され、建物が密集する旧市街と、1813年以降ナポレオンの義弟ミュラ(1808~15年のナポリ王)の主導によって城壁の外に形成された広い碁盤目状の道路の新市街とからなる。金属機械、石油化学、繊維などの工業が発達し、タラントやブリンディジとともにプーリア州の主要工業拠点をなす。また、毎年「レバント・フェアー」が開催され、東地中海諸国との貿易港としても重要な機能を果たしている。
すでに紀元前2世紀には海陸交通の要地として知られる。ラテン名バリウムBarium。11世紀以降、大司教座が置かれた。ノルマン支配下の1087~1108年に建てられた聖ニコラウスの遺骨が納められているロマネスク様式のサン・ニコーラ教会をはじめ、サン・サビーノの大聖堂(12~13世紀)、フリードリヒ2世によって建てられたズベーボ城(13世紀)などがある。第二次世界大戦末期の1944年1月、反ファシスト諸政党により将来の政策の基本線を論議するためにバリ会議が開催された。1924年創設の大学がある。哲学者・歴史家ベネデット・クローチェの著作の出版で有名なラテルツァ出版社の所在地である。
[堺 憲一]