パトリック(英語表記)Patrick, Ruth Myrtle

デジタル大辞泉 「パトリック」の意味・読み・例文・類語

パトリック(Patrick)

[387ころ~461ころ]ブリタニア生まれのキリスト教宣教師聖人。宣教師としてアイルランドに渡り、キリスト教化の基礎をつくった。アイルランドの使徒と呼ばれる。著「告白録」。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パトリック」の意味・わかりやすい解説

パトリック
Patrick, Ruth Myrtle

[生]1907.11.26. カンザストピーカ
[没]2013.9.23. ペンシルバニア,ラファイエットヒル
アメリカ合衆国の水生生物学者,教育者。陸水学の先駆者の一人で,特にケイ藻(→ケイ藻類)の研究で知られる。コカー大学を卒業後,バージニア大学で植物学を学ぶ。1933~45年フィラデルフィアの自然科学アカデミーでボランティアとして働き,新しいケイ藻分類群や文献を整理するファイリングシステムを開発した。その結果,同アカデミーのケイ藻標本は世界最大規模を誇るまでとなった。チャールズ・ライマーとの共著 "The Diatoms of the United States Exclusive of Alaska and Hawaii"(2巻,1966,1975)は古典となった。その後は応用生態学,生物多様性,環境保全にまで関心を広げ,パトリックの研究がきっかけとなり世界各地の流域管理プロジェクトに人工湿地が設置された。1996年アメリカ陸水学・海洋学協会の生涯功労賞,ナショナル・メダル・オブ・サイエンスを受賞。

パトリック
Saint Patrick

5世紀頃在世のアイルランド守護聖人。伝説的人物。西ブリテンに生まれ,アイルランドで没したとされる。16歳のとき海賊の捕囚となりアイルランドで 6年を過ごした。後年アイルランド島への伝道召命自覚司教として北アイルランドアーマーを中心地にほぼ全土改宗に成功。著書に『告白』Confessioと書簡がある。祝日は 3月17日。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「パトリック」の意味・わかりやすい解説

パトリック
ぱとりっく
Patrick 英語
Patricius ラテン語
(385/387―461)

アイルランドの修道士。アイルランドの守護聖者として広く尊崇されている。スコットランドの生まれで、少年のときアイルランド人の侵入を受け、奴隷となる。帰国後フランスのレリン、オークセール修道院で神学を学び、司教に叙せられ、当時ドルイドの異教を信じていたアイルランドに伝道し、大半をキリスト教に改宗させ、多数の教会、修道院を建てた。彼は司祭、聖歌隊、牧畜、農耕、森林の仕事に携わる者、鍛冶(かじ)、裁縫、建築、ワイン醸造、石工などを大ぜい引き連れて布教した。彼の聖者表号であるクローバーを摘んで三位(さんみ)一体を説いたという。晩年自らの伝道の生涯を記録した『告白録』が残っている。この聖者の祝日は3月17日。彼が瞑想(めいそう)と祈りの生活をした洞窟(どうくつ)のあるアイルランド中部のダーグ湖は有名な巡礼地。

[植田重雄 2017年12月12日]

『ヤコブス・デ・ウォラギネ著、前田敬作・今村孝訳『黄金伝説I』(1979・人文書院/平凡社ライブラリー)』『池田敏雄著『教会の聖人たち 上巻』改訂増補版(1981・中央出版社)』

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改訂新版 世界大百科事典 「パトリック」の意味・わかりやすい解説

パトリック
Patrick
生没年:389ころ-461ころ

アイルランド人の使徒,聖人。ラテン名パトリキウスPatricius。16歳のとき奴隷としてアイルランドに連れて来られたが,6年後ガリアに逃れ,レランの修道院で修行したのち,431年ふたたびアイルランドに渡り,翌年司教に叙階された。各地でドルイド教徒の妨害を排除し,教会堂を建立し,444年にはアルマーに司教座聖堂を設け,教会行政と教育の中心とした。ラテン語の学習をはじめとして学問一般を奨励し,アイルランド教会を西欧カトリック教会の一員として再編するために努力した。生前からすでに多くの伝説や奇跡物語に彩られたその生涯を正確に知る資料は,《告白》と書簡だけであるが,死後〈アイルランドの守護聖人〉として特別の尊崇を集めるようになった。祝日は3月17日。
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世界大百科事典(旧版)内のパトリックの言及

【ユートピア】より

…人文主義や宗教改革など16世紀の精神と響和して,《ユートピア》は人間主義と原初志向とをうたいあげ,あわせて現実批判の鋭利な手段ともなりえたのである。同世紀にはほかにA.F.ドーニ《世界》(1552),F.パトリーツィ《至福の都》(1553)など,新世界情報をも盛りこんだユートピアが描かれた。17世紀初頭には著名な2例があらわれる。…

※「パトリック」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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