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ヒュペーリオン Hyperion, oder Der Eremit im Griechenland

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ヒュペーリオン
Hyperion, oder Der Eremit im Griechenland

ドイツの詩人ヘルダーリーンの唯一の小説。第1部 1797年,第2部 99年刊。「ギリシアの隠者」という副題をもつ。書簡体の形式をとり,18世紀のギリシア青年ヒュペーリオンが荒廃した現代の祖国に古代の栄光を回復すべく,悩み,嘆き,怒り,力闘し,結局は挫折,人間界に絶望し,それだけに一層自然への信愛を深くして隠者として生きるところで終る。

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デジタル大辞泉の解説

ヒュペーリオン(〈ドイツ〉Hyperion)

ドイツの詩人ヘルダーリンが著した唯一の小説。第1巻は1797年、第2巻は1799年刊。哲学的な教養小説

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百科事典マイペディアの解説

ヒュペーリオン

ヘルダーリンの書簡体小説。1797年に前半,1799年に後半刊行。トルコの支配から祖国を解放しようと戦うギリシア青年を主人公に,その同胞への批判とディオティーマへの愛を叙しながら,祖国ドイツへの思い,作者の心の恋人ゴンタルト夫人への賛歌を仮託している。
→関連項目ヒュペリオン

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世界大百科事典 第2版の解説

ヒュペーリオン【Hyperion oder der Eremit in Griechenland】

ヘルダーリンの著した唯一の小説(第1巻1797,第2巻1799)。18世紀のギリシア青年ヒュペーリオンが,師との出会いと友との交わりを通じて,古代ギリシアの全一的生への憧憬を強め,と同時に堕落した現代への怒りと改革への熱情をもやす。やがて,その美しい生を具現する恋人ディオティーマのもとに安らぎを得るが,個人的幸福に安住できずに祖国解放の戦争に身を投じ,しかし結局は挫折し,すべてを融和させる大自然の懐に戻ってゆく。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ヒュペーリオン
ひゅぺーりおん
Hyperion

ドイツの詩人ヘルダーリンの書簡体小説。悲歌的な哀切な響きのなかに深い思想をたたえ、最後は生の賛歌に終わる。時代批判の書でもある。最初の計画(1792)ののち改作を重ね、第一部1797年、第二部1799年刊。主人公ヒュペーリオンは祖国ギリシアをトルコの圧制から救おうとして失敗し、追及の手を逃れて隠れ住んでいる。彼は友人にその過去を物語る。安らかな幼時、師の導きを受けた少年時代、アラバンダと理想国家を語り合った青年時代、ディオティーマへの恋、祖国解放のための行動。彼の人生はしだいにその輪を広げたが、最後はすべてを失ったようにみえる。しかしディオティーマは彼に詩人としての将来を予言して死ぬ。そうした自分の成長の跡を順次知らせていく手紙のなかには、過去の体験から生まれた思想と、手紙を書いているそのときの感情も織り込まれ、一見単純な筋立てでも、その構成は複雑である。美は同時に神聖なものであり、根底では真理と一つのものと考えられた。それが生きた姿となって現れたのがディオティーマであり、荒廃した現代にそのような美を回復し、それを示すことが詩人の使命であった。[野村一郎]
『野村一郎訳『ヒュペーリオン』(『世界文学全集20』所収・1977・講談社) ▽『ヒュペーリオン』(渡辺格司訳・岩波文庫/吹田順助訳・新潮文庫)』

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世界大百科事典内のヒュペーリオンの言及

【教養小説】より

…ゲーテの《ウィルヘルム・マイスター》(〈修業時代〉1796,〈遍歴時代〉1829)は教養小説の典型だとされているが,〈修業時代〉において主人公ウィルヘルムを自己形成へと導く〈塔の結社〉の人々は,〈遍歴時代〉の結末においては,理想の共同体を実現するために,ヨーロッパを離れて新世界(アメリカ)へ旅立つ。また,ヘルダーリンの《ヒュペーリオン》(1797,99)の主人公は,自由な個人の存在を可能にする理想の国家の実現をめざしてギリシア独立戦争に参加しながら,戦争の現実に絶望して隠者となり,自然の美しさのなかにわずかな慰めを見いだす。また,ノバーリスの《ハインリヒ・フォン・オフターディンゲン》(1802,邦訳名《青い花》)は〈期待〉と〈実現〉の二つの部分からなるが,〈実現〉は未完のままで終わっている。…

※「ヒュペーリオン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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