ビリルビン(読み)びりるびん

  • bilirubin

妊娠・子育て用語辞典の解説

胆汁色素。本来は黄色ですが、体外にでて空気に触れると緑色に見えます。赤ちゃんのうんちが緑色に見えるのも、うんちの中に含まれるビリルビンのためで、緑便も正常です。

出典 母子衛生研究会「赤ちゃん&子育てインフォ」指導/妊娠編:中林正雄(愛育病院院長)、子育て編:多田裕(東邦大学医学部名誉教授) 妊娠・子育て用語辞典について 情報

世界大百科事典 第2版の解説

胆汁色素の主成分で,赤褐色を呈するので,胆赤素とも呼ばれ,生体中ではビリベルジンの還元によって生成される。血清の淡黄色は主としてこの物質の存在による。胆汁の色調も,ビリルビンとビリベルジンの混在する比率により支配される。血清中にビリルビンが増加した状態が黄疸である。健康成人で1日250~300mgのビリルビンがつくられるが,その85%は,老化した赤血球の崩壊により生じたヘモグロビンの構成成分であるヘム由来である。

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大辞林 第三版の解説

赤褐色の胆汁色素。人間や肉食動物の胆汁に多量に含まれる。老化した赤血球が崩壊する際に、ヘモグロビンが分解されて生じた物質。肝臓で代謝され、胆汁中に排出される。これが血液中に増加すると黄疸おうだんを生じる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ビリベルジンとともに胆汁色素の一つ。ビリルビンの 80%は赤血球の色素であるヘモグロビンが肝臓で分解処理された最終産物。ヘモグロビンは肝臓などの細網内皮系細胞内で分解されるが,まずベルドヘモグロビンとなり,鉄が分離してフェリチンになる。さらにグロビンが分離してビリルビンとなり,血清グロブリンと結合して肝臓に運ばれ,ここで水溶性のビリルビン・グルクロナイドという抱合体となって胆汁とともに小腸に排出される。一時に大量のヘモグロビンが分解処理され,体液中の濃度が高まるのが黄疸である。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

胆汁中に含まれる黄色色素で、胆汁色素の主成分。分子式C33H36N4O6、分子量584.67。赤血球寿命は約120日で、古い赤血球は脾臓(ひぞう)・細網内皮系の細胞に破壊され、赤血球内のヘモグロビンが分解される。その産物であるヘムのプロトポルフィリンのα(アルファ)位のメチン橋(-CH=)がヘムオキシゲナーゼによりヒドロキシル化されて開環しビリベルジンとなる。さらにそのメチン橋がビリベルジン還元酵素biliverdin reductaseによって還元されてビリルビンが生成する。
 ビリルビンは血清アルブミンと結合し、肝臓に運ばれて肝細胞の洞様毛細血管(類洞)側の細胞膜から取り込まれる。通常、このビリルビンは直接型ビリルビンまたは非抱合型ビリルビンとよばれる。これは水に不溶性であるが、肝細胞のミクロゾームで、プロピオン酸側鎖に主としてグルクロン酸が付加されることで水に可溶となり、胆汁中に排泄(はいせつ)される。これが直接型ビリルビンまたは抱合型ビリルビンとよばれるもので、この抱合を触媒する酵素はウリジン二リン酸uridine diphosphate(UDP)-グルクロニル(またはキシロシル)トランスフェラーゼである。血液中のビリルビン濃度が上昇すると黄疸(おうだん)が生じる。新生児ではこの酵素活性が低く、生理的黄疸が生ずる。また成人の体質性高ビリルビン血症(体質性黄疸)のなかには、この酵素活性が低く軽い黄疸がみられることがある。
 ビリルビンは腸内細菌の還元作用を受けてウロビリノゲンおよびステルコビリノゲンとなり、腸肝循環をするが、一部は糞便(ふんべん)や尿中に排泄される。いずれも無色であるが、空気中では酸化され黄褐色ないし黒褐色のウロビリンおよびステルコビリンとなる。[有馬暉勝・有馬太郎・竹内多美代]
『南部勝司著『黄疸とその臨床』(1987・新興医学出版社) ▽サンジブ・チョプラ著、谷川久一・岡田吉博・橋本直明訳、織田敏次監訳『レジデントのための肝臓病学』(1989・メディカル・サイエンス・インターナショナル) ▽日本生化学会編『新・生化学実験講座15 代謝異常』(1992・東京化学同人) ▽J・エドワード・バーク編著、土屋雅春監訳『ボッカス 消化器病学5 肝臓』(1992・西村書店) ▽橋都浩平・岩中督編『小児外科学』新版(1994・診断と治療社) ▽ポルフィリン研究会編『ポルフィリン・ヘムの生命科学』(1995・東京化学同人)』

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 (bilirubin) 胆汁色素の主成分をなす物質。橙黄色ないし赤褐色の結晶。老化した赤血球が破壊される際にヘモグロビンが分解されて生じる。肝臓で代謝されて胆汁中に排出され、腸に入り、便の中に排出される。体内に蓄積されると黄疸になる。黄疸の時の皮膚の黄染はこの物質による。

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四訂版 病院で受ける検査がわかる本の解説

基準値

総ビリルビン:0.2~1.2mg/dℓ

直接ビリルビン:0.1~0.5mg/dℓ

ビリルビンとは

 赤血球中のヘモグロビンが壊れてできる色素。肝臓で処理(抱合ほうごう)されて、胆汁を介して十二指腸に排泄される。ビリルビンには3つあり、肝臓で処理される前のビリルビンを間接ビリルビン、処理されたあとのビリルビンを直接ビリルビン、両方をあわせたものを総ビリルビンと呼ぶ。


●黄疸 白目や皮膚が黄色くなる

●直接ビリルビン 肝臓や胆管が障害を受けると増加

●間接ビリルビン 赤血球中のヘモグロビンが壊れると増加

肝臓、胆管、血液などの異常を調べる検査です。ビリルビンの高値は、肝機能障害を示していることが多いため、種々の肝機能検査を行い病態を把握します。

黄疸で高値に…総ビリルビン

 間接と直接の両方をあわせた総ビリルビンは、おもに黄疸おうだんを確認する検査です。肌や眼が黄色くなるのは、ビリルビンが増加するためで、血液中の総ビリルビン濃度が2.0mg/dℓ以上になると、眼球の白い部分が黄色になり始め、さらに増えると皮膚も黄色になってきます。

溶血性の病気で高値に…間接ビリルビン

 何らかの原因で、赤血球が異常に壊れることを溶血といいます。溶血性の病気があると、肝臓でまだ処理(抱合)されていない状態の間接ビリルビンが血液中に増加してきます。

肝機能障害、胆管結石・腫瘍で高値に…直接ビリルビン

 肝臓が障害されると、肝臓で処理された直接ビリルビンが血液中に増加します。また、胆管が胆石や腫瘍により閉塞すると、胆汁中に排泄された直接ビリルビンが増加します。

間接ビリルビンは〈総ビリルビンマイナス直接ビリルビン〉

 ビリルビンは、特殊な色素との結合による色調の変化を測定する方法で定量されています。

 検査では、総ビリルビンと直接ビリルビンを測定し、総ビリルビンから直接ビリルビンを引いて、間接ビリルビンを求めます。基準値は、総ビリルビンが0.2~1.2mg/dℓ、直接ビリルビンが0.1~0.5mg/dℓです。総ビリルビンの上限値は病態識別値(体質性黄疸)になります。

 ビリルビンは空腹時に増加し、食後に低下します。運動によっても増加するので、検査前日・当日の激しい運動は控えてください。

どのビリルビンが増加しているかを見極めて原因を究明

 ビリルビンは、総ビリルビンだけでなく、間接・直接ビリルビンのいずれが増加しているかも、病態解析の重要な指標となります。

 境界値の場合は、長時間の空腹や常用薬の影響も考えられるため、食事後もしくは薬剤を中止してから1週間後に再検査します。

 ビリルビンの高値は、肝機能障害に由来することが多いため、種々の肝機能検査を行って、病態を把握します。

直接ビリルビンと間接ビリルビン

 直接ビリルビンは肝臓で抱合された後のビリルビンで、測定試薬と直接反応するためにこの名前がつき、間接ビリルビンはカフェインやアルコールを加えて初めて測定試薬に反応するのでこの名前がつきました。

疑われるおもな病気などは

◆高値→溶血性黄疸、肝細胞性黄疸(急性肝炎、肝硬変)、肝内胆汁うっ滞(薬剤性肝炎、原発性胆汁うっ滞性肝硬変)、新生児黄疸、体質性黄疸、肝外胆汁うっ滞(総胆管結石、総胆管腫瘍)など

◆低値→鉄欠乏性貧血など

医師が使う一般用語
「ビリルビン」

出典 法研「四訂版 病院で受ける検査がわかる本」四訂版 病院で受ける検査がわかる本について 情報

化学辞典 第2版の解説

C33H36N4O6(584.65).胆赤素ともいう.ヘモグロビンの分解産物で,ビリベルジンとともに胆汁色素の主成分であり,血清中にも少量存在する.ウシ胆石やブタの胆汁から抽出される.単斜晶系で長斜方形の橙黄色または濃赤色の結晶.加熱によりしだいに黒変する.λmax 450 nm(ε 55600,クロロホルム).ベンゼン,クロロホルム,クロロベンゼン,二硫化炭素,酸,アルカリに可溶,エタノール,エーテルに微溶,水に不溶.酢酸亜鉛とヨウ素で緑色蛍光を発する.肝機能障害によってその血中濃度が高くなると皮膚や粘膜が黄色を帯び,いわゆる黄胆になる.P. Ehrlich(エールリヒ)のジアゾ試薬(ジアゾベンゼンスルホン酸)で紫紅色を呈する定量法があり,このビリルビンの量で肝機能障害の程度を知ることができる.還元されて尿中へ排出されたものがウロビリノーゲンである.[CAS 635-65-4][別用語参照]胆汁色素

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典内のビリルビンの言及

【黄疸】より

…胆汁色素(ビリルビン)が血液および組織中に増加した状態を意味し,臨床的には血清,皮膚,粘膜が黄色に染まる状態をいう。jaundice,icterus(ラテン語由来)はもともと黄色を意味する言葉であったが,現在は黄疸を指す言葉として用いられている。…

【肝臓】より

…胆汁それ自体は消化酵素を含まないが,小腸内で消化吸収を助ける働きをする。胆汁の組成は,抱合型(タウリン,グリシン)胆汁酸,コレステロール,リン脂質,ビリルビンおよび電解質である。ビリルビンは,脾臓やクッパー細胞で破壊された古い赤血球のヘモグロビンが,加水分解を受け,ヘムとなり,さらにビリベルジンを経て生成されたものである。…

【肝不全】より

…肝臓のビリルビン処理,タンパク質合成,解毒などの代謝機能が,高度に障害された状態。大別して,急性肝不全と慢性肝不全に分けられる。…

【大便】より

…大便の色は胆汁色素による。通常は,胆汁中のビリルビンが腸内細菌の作用で還元されて生じたステルコビリンstercobilinにより,黄褐色を呈する。高度の下痢の場合は,ビリルビン還元の時間が不足するため,ビリルビン本来の色である黄色に近づく。…

【ビリベルジン】より

…緑色を呈するので胆緑素とも呼ばれる。ヘモグロビン(血色素)の代謝中間産物であり,ヘモグロビンからベルドヘモグロビンを経て生成され,さらに還元されるとビリルビンになる。肝臓から胆汁をとりだすと,最初はビリルビンの存在により黄金色を呈するが,放置すると酸化が進み,ビリベルジンが生成し,緑色を呈するようになる。…

※「ビリルビン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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