翻訳|flint
珪(けい)質堆積(たいせき)岩チャートの一種。硬く、鋼鉄片と打ち合わせると火花が出るため、燧石(ひうちいし)あるいは火打石ともいわれる。白色または灰色から黒色を呈し、割ると貝殻状の断口を示す。玉髄や潜晶質石英からなるきわめて緻密(ちみつ)で硬い岩石。チョークや石灰岩、あるいは珪藻土(けいそうど)の中に団塊として産するが、レンズ状あるいは不規則な塊状のこともある。珪質海綿の骨針のような生物源シリカ(二酸化ケイ素)の溶解・沈殿によって形成されたと考えられるものもあり、海綿の骨針や放散虫あるいは珪化した有孔虫などの化石を含んでいることがある。石器時代に用いられた石器のなかには、フリントを利用したものがある。
[斎藤靖二]
岩石学的にはチャートの一種で,微晶質石英,玉髄,タンパク石(オパール)などの鉱物の集合体をいい,緻密(ちみつ)で硬く,ほとんどがケイ酸からなる。一般に灰白色で,不純物により黄・褐・紅色などを呈する。貝殻状断口を示す。フリントは石灰岩や粘板岩と互層するものもあるが,石灰岩中にノジュール(団塊)状に産することが多く,ヨーロッパのチョーク中のものが有名。ケイ質の海生生物の遺骸が集積したり,石灰岩が交代されてできることが多い。
執筆者:徳岡 隆夫
緻密で硬く,打ち割りの反応がすばやく,かけらの縁は鋭いので,ヨーロッパを中心にアフリカ,西アジアでは石器用の石材として旧石器時代前期から広く利用されてきている。ケイ質の岩石であるという点で日本の石器に使用されているケイ岩類も同じであり,良質な部分の緻密さ,硬さは変わらない。フリンティ・ストーンとしてまとめられることもある。火打石としても用いられ,鉄片と打ち合わせて火口に点火させる。16世紀以降の鉄砲にフリント片を鉄芯でたたいて発火させる方式のものがあり(この石片をガン・フリントと呼ぶ),イギリスでの加工をみると,石器時代の石刃づくりによく似た技術が使われていることで知られる。
→火打石
執筆者:松沢 亜生
アメリカ合衆国ミシガン州東部の工業都市。人口11万8551(2005)。デトロイトの北西90kmにあり,フリント川に臨む。自動車工業の中心地として知られる。1819年毛皮交易所として開設されたときにはチペワ・インディアンの居住地であった。その後農林業の中心地となったが,19世紀後半には馬車製造業の発展がみられた。1904年世界初の自動車工場ビューイック・モーター・カンパニーが設立され,以後自動車産業都市として発達。ゼネラル・モーターズの工場群が立地し,労働人口の半数が同社に雇用されている。1919年創設のゼネラル・モーターズ・インスティチュートなどの大学がある。
執筆者:矢ヶ崎 典隆
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石英の一種.角岩,ひうち石,チャートなどとよばれることがある.主成分はSiO2であるが,不純物により着色し,ち密で硬く,貝殻状断口を示す.けい質海生生物の遺骸が溶けたものからできる.石器として用いられた.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
…弥生時代の福岡県今山産の玄武岩製の石斧や,同県立岩産の輝緑凝灰岩製の石庖丁において製品の交易が説かれているが,石材や製品が交易されたのか,製作者が石材産地に出向いたのかは未解決である。ヨーロッパでは石器の石材にフリントが多く使われたが,イギリス諸島では四つの産地が著名である。その一つのグライムズ・グレーブズ遺跡では大きな採石場があり,ここのフリントはイギリス各地に流通した。…
…チョークは以前には無機的な炭酸石灰の沈殿物と考えられていたが,電子顕微鏡の発達により,これが主として浮遊性藻類であるコッコリトフォリーダの遺骸(コッコリス)から形成されていることが明らかとなった。しばしばフリントの団塊を含み,場所によってはアンモナイト,ベレムナイト,二枚貝,ウニなどの化石を含む。一般に方解石からなる貝殻はよく保存されているが,アラゴナイトの殻は溶け去っている場合が多い。…
※「フリント」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
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