ブラッドフォード(読み)ぶらっどふぉーど(英語表記)Bradford, Samuel Clement

図書館情報学用語辞典 第5版 「ブラッドフォード」の解説

ブラッドフォード

1878-1948.英国ロンドン生まれ.20世紀前半にドキュメンテーション分野で活躍.ロンドン大学で化学を専攻し,サウスケンジントンの科学博物館(Science Museum)に就職,1901年に同図書館部門に転じ,1925~1937年図書館長.この図書館部門は国立科学技術貸出図書館(National Lending Library for Science and Technology)に発展する.特定分野の雑誌論文を網羅的に収集しようとしたときに発見した,雑誌数と累積掲載論文数との数学的な規則性はブラッドフォードの法則として知られる.1927年には国際ドキュメンテーション連盟(FID)英国支部を設立,その後,1945年FID副会長,1947年国際分類委員会(International Committee on Classification)議長を歴任した.

出典 図書館情報学用語辞典 第4版図書館情報学用語辞典 第5版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブラッドフォード」の意味・わかりやすい解説

ブラッドフォード
Bradford

イギリスイングランド中北部,ウェストヨークシャー地域中部の都市。周辺を含めてブラッドフォード地区を構成する。リーズの西約 15km,ペナイン山脈東麓の谷にあり,市街地は周囲の丘陵上にも広がっている。13世紀には市場町として繁栄。14世紀には毛織物工業が興り発展したが,17世紀末から 18世紀初期にかけて,それまでの紡毛織物に代わって梳毛織物ウーステッド)の生産が盛んとなり,その後アルパカモヘア,絹,ベルベットなどの生産も行なわれるようになった。羊毛買い付けの重要な中心地となり,海外との取り引きも盛んに行なわれた。20世紀後半になると織物工業は衰退し,エンジニアリング,製紙,印刷などの産業が発達。市庁舎,羊毛取引所などビクトリア時代の建物が多い。ブラッドフォード大学がある。地区面積 366km2。地区人口 49万3100(2006推計)。都市人口 29万3717(2001)。

ブラッドフォード
Bradford, William

[生]1827. マサチューセッツニューベッドフォード
[没]1892.4.25. ニューヨーク
アメリカの海洋画家。独学で絵を学び,ニューヨークのナショナル・アカデミー・オブ・デザインの会員。マサチューセッツやラブラドール,ノバスコシアの海岸から見た船や海洋の絵を描いた。 I.ヘイスの北極探検に数回参加,北極圏に近いアメリカの海辺の風景を描いた最初の画家。代表作はロンドンのロイヤル・アカデミーに出品した『メルビル湾のパンサー号』 (1875) 。

ブラッドフォード
Bradford

アメリカ合衆国,ペンシルバニア州北境にある町。エリー湖の東約 160kmに位置する。地名は初期の移住民の故郷ニューハンプシャー州の川名に由来。ペンシルバニア油田の中心をなす。 1871年に石油が発見されて急速に繁栄し,81年には世界総生産の 40%に達した。その後産油量は減少したが,製油工場を中心として関連工場が集中。その他木材,煉瓦を産する。付近にアレゲニー州立公園,州内唯一のインディアン指定居留地がある。人口 9625 (1990) 。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「ブラッドフォード」の意味・わかりやすい解説

ブラッドフォード
Bradford

イギリス,イングランド北部,ウェスト・ヨークシャー中部にある工業都市。地名は〈広い浅瀬〉の意。人口49万3100(2006)。ペナイン山脈の東麓,エア川支流に臨み,羊毛(とくにウーステッド)工業とその取引で発展し,化学繊維,電機,自動車などの工業もみられる。中世には市場町で,14世紀には羊毛工業も成立していた。産業革命以後に豊かな軟水を利用した梳毛(そもう),染色工業や,付近の石炭と鉄鉱を利用した繊維機械工業などが興って近代的工業都市へと成長した。1919年に司教座が設置されて15世紀のセント・ピーター教会が大聖堂となった。市内には力織機の発明者E.カートライトの記念館やブラッドフォード大学などがある。
執筆者:


ブラッドフォード
William Bradford
生没年:1590-1657

ピルグリム・ファーザーズの指導者,プリマス植民地の総督。イギリスのヨークシャー南部に農民の子として生まれ,少年時より分離派のピューリタンに加わる。1609年オランダへ亡命,20年メーフラワー号でアメリカに渡る。21-56年ほぼ連続で総督に選ばれ,指導力をもって植民地建設に尽力した。この間執筆を続けた《プリマス植民地史》は1856年初めて公刊されたが,すぐれた歴史叙述とされる。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブラッドフォード」の意味・わかりやすい解説

ブラッドフォード(William Bradford)
ぶらっどふぉーど
William Bradford
(1590―1657)

アメリカ、プリマス植民地の総督。イギリスのヨークシャー生まれ。イギリス国教会の礼拝や儀式に満足せず、分離派の「スクルービ・コングリゲーション」(非合法的に追放者を受け入れるピューリタンの信者の集まりの一つ)に参加。ロビンソン師と長老ブルースターから深い感銘を受けた。1620年メイフラワー号に乗ってオランダを出発。プリマス植民地建設に貢献し、とくにインディアンとの友好、産業の振興に優れた力を発揮した。著書『プリマス・プランテーション』Of Plymouth Plantationは有効な資料である。

[野村文子]

『曽根暁彦著『アメリカ教会史』(1974・日本基督教団出版局)』『George D. Langdon, Jr.Pilgrim Colony;A History of New Plymouth 1620―1691 (1966, Yale Publications, New Haven, Connecticut)』


ブラッドフォード(イギリス)
ぶらっどふぉーど
Bradford

イギリス、イングランド中部、ウェスト・ヨークシャー大都市県の工業都市。人口46万7668(2001)。ペニン山脈東麓(とうろく)、エア川の支流に沿って位置する。13世紀ごろから定期市開催地として繁栄し、14世紀に入ると毛織物工業がおこった。その後、動力の導入やユダヤ商人の進出などで羊毛工業、羊毛取引の中心地となった。18世紀以降はウーステッド織物製造が中心となり、周辺の同業12都市とあわせてイギリスのウーステッド生産の90%を占めるに至った。現在はほかにアルパカ、モヘア、ベルベット、化学繊維の生産も多い。ブラッドフォード羊毛取引所は、イギリスだけでなく世界の羊毛取引の中心である。ほかに化学製品、自動車、機械などの製造業もある。市内には15世紀のセント・ピーター教会、17世紀のグラマー・スクール、19世紀の建築で60メートルの鐘楼をもつゴシック建築の市役所など古い建物も多い。また、公園、緑地にも恵まれている。

[井内 昇]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「ブラッドフォード」の意味・わかりやすい解説

ブラッドフォード

ピルグリム・ファーザーズの指導者。イギリスのヨークシャーに生まれ,1609年オランダに宗教亡命。1620年にメーフラワー号でアメリカに渡る。プリマス植民地の総督時代の記録《プリマス植民地史》(1856年)が著名。

ブラッドフォード

英国,イングランド北部,リーズ西方約14kmにあるウェスト・ヨークシャー州の工業都市。リーズとともに羊毛工業の中心で,毛織物,毛糸の産が多い。世界の羊毛買いつけの中心地のひとつ。紡織機械,化学,電機などの工業も立地。高さ60mの鐘楼をもつゴシック建築の市役所がある。52万2452人(2011)。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

旺文社世界史事典 三訂版 「ブラッドフォード」の解説

ブラッドフォード
William Bradford

1590〜1657
イギリスの北アメリカ植民地プリマスの建設者
1620年ピルグリム−ファーザーズの一指導者として,メイフラワー号で渡米。数度総督に選ばれ,誠実な人柄と手腕によってプリマスの繁栄に貢献した。その著『プリマス植民地史』(1856)は貴重な史料。

出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のブラッドフォードの言及

【イングランド】より

…またランカシャー工業地域でも,発展途上国との競合で綿工業が打撃を受けたため,紡績・織物工場の機械工場への転換が促進され,さらには工業中心そのものがマンチェスター周辺から,石油化学・自動車工業などが立地する臨海のリバプールへと変化している。一方,ペナイン山脈東麓側のヨークシャー工業地域では,綿工業ほどの衰退はみられないが,羊毛工業の集中・専門化は進み,ブラッドフォードなどの西ヨークシャー諸都市で高級品の生産が行われている。また南ヨークシャーのシェフィールドには伝統ある鉄鋼業が立地している。…

※「ブラッドフォード」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

選挙公営

国または地方公共団体が個々の候補者の選挙費用の一部または全額を負担すること。選挙に金がかかりすぎ,政治腐敗の原因になっていることや,候補者の個人的な財力によって選挙に不公平が生じないようにという目的で...

選挙公営の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android