ベローナ(その他表記)Verona

翻訳|Verona

デジタル大辞泉 「ベローナ」の意味・読み・例文・類語

ベローナ(Verona)

イタリア北東部の商工業都市。古来交通要地。古代ローマ円形劇場がある。シェークスピア悲劇ロミオとジュリエット」の舞台としても知られる。2000年、世界遺産文化遺産)に登録された。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「ベローナ」の意味・読み・例文・類語

ベローナ

  1. ( Verona ) イタリア北東部、ミラノベネチアとの中間にある都市。古来、交通の要地として発達。現在は農産物集散地で、機械・製紙・印刷などの工業が行なわれる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「ベローナ」の意味・わかりやすい解説

ベローナ
Verona

イタリア北部,ベネト州の都市。人口25万9380(2005)。町の中央をアディジェ川が蛇行するベローナは北ヨーロッパとイタリアを結ぶ交通の要衝にあり,穀物取引の市場として栄え,20世紀に入って,機械,製紙,薬品の製造などの工業も発達した。古代の土着民によって建設された町で,前89年,ローマの植民市になり,3世紀には軍事基地に変貌した。489年東ゴート王テオドリックに占領され,ランゴバルド王アルボイノAlboinoはベローナを居城とした。774年カール大帝がベローナを征服し,その息子ピピンはここを彼の王国の主要都市として発展させた。イタリア王国が崩壊すると,オットー1世はイタリアへの安全な道を確保するため,ベローナの統治をバイエルン公に委託し,11世紀末までドイツ人司教がベローナ教区を管轄することになった。12世紀前半にコムーネが成立し,1167年教皇派のロンバルディア都市同盟に参加した。コンスタンツの和(1183)後,ドイツとの自由貿易の道が開かれると,ベローナは領土拡張主義をとり,フェラーラマントバと争った。一方,町の豪族のあいだで政権争いが始まり,1236年エッツェリーノ・ダ・ロマーノはフリードリヒ2世の援助を得てベローナのシニョーレの地位を獲得した(シニョリーア制)。1260年デラ・スカラ家のマスティーノをカピターノ・デル・ポポロに選びコムーネが再建されたが,マスティーノの弟アルベルトは,みずからベローナのシニョーレとなった。シェークスピアの悲劇《ロミオとジュリエット》はこのスカラ家統治時代に題材をとっている。

 カングランデ(1329没)の時代に,ビチェンツァ,パドバ,トレビーゾを征服し,スカラ家の統治領域は最大になった。1387年ミラノのビスコンティ家の手に落ち,さらに1405年,ベネチア共和国に領有され,その統治はナポレオンの征服(1797)まで続いた。その後オーストリア領となり,1866年イタリア王国に編入された。
執筆者:

ベローナには古代からルネサンスまでの遺産が多く,互いに調和して残存する。ローマ時代の建築には,アレーナArena(1世紀の円形劇場。席数2万。今日もオペラ上演などに使用される),ボルサーリ門(1世紀。3世紀再建)などがある。教会堂も多く,ロマネスク様式の大聖堂,初期ロマネスク彫刻の重要例である入口扉の青銅浮彫(11~12世紀)をもつサン・ゼノ・マッジョーレ教会,華麗な内部装飾のサンタナスタシア教会(13~15世紀)などがとくに知られる。スカラ家の館,同家の彫刻や鉄細工で飾られた墓(14世紀)なども残る。14世紀にスカラ家により造られた城塞カステルベッキオ(〈古い城〉の意)は,現在は美術館とされ,中世から18世紀までの絵画,彫刻などを陳列する。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベローナ」の意味・わかりやすい解説

ベローナ
べろーな
Verona

イタリア北東部、ベネト州ベローナ県の県都。人口24万3474(2001国勢調査速報値)。レッシーニ山地の南麓(なんろく)、アディジェ川沿いに位置する。アルプスのブレンナー峠を経て、北イタリアの主要都市とオーストリアとを結び付ける交通の要地。農産物の集散地として知られ、毎年国際農業市(いち)が開催される。製鉄、機械、印刷、食品、化学などの工業活動も盛んである。また『ロメオとジュリエット』の舞台としても有名。市内には古代ローマの円形劇場(紀元前1世紀のもので、毎年夏にオペラが上演される)、サン・ゼノ教会(12~14世紀)、14世紀につくられた城塞(じょうさい)カステルベッキオなどがあり、訪れる観光客も多い。1822年に開かれたベローナ会議の開催地。市内は2000年に世界遺産の文化遺産として登録されている(世界文化遺産)。

[堺 憲一]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「ベローナ」の意味・わかりやすい解説

ベローナ

イタリア北部,ベネト州の都市。アディジェ川に臨み,ドイツとの交通の要地。ポー川農業地帯の中心地で,毎年国際農産物見本市が開かれる。ローマ時代の円形劇場(夏に野外オペラ開催),ロマネスクの聖堂,サン・ゼノ教会などがある。ローマの重要な軍事都市として始まり,フランクの支配を経て,12世紀に自治都市となり,13―14世紀スカラ家支配下に繁栄した。シェークスピアの《ロミオとジュリエット》はこの時代に題材をとっている。1405年―1797年ベネチア共和国領,オーストリアの支配を経て1866年イタリア王国に編入。2000年世界文化遺産に登録。25万2520人(2011)。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界遺産情報 「ベローナ」の解説

ベローナ

「ロミオとジュリエット」の舞台となったことでも知られるベローナ。ジュリエットのモデルとなった娘の家には今も観光客が訪れます。街の歴史は古くローマ時代にさかのぼり、各時代ごとの見どころが多く残ります。圧巻は1世紀に建てられた円形闘技場「アレーナ」で、夏には野外オペラが行われます。漆黒の夜空の下で大規模な舞台セットを利用したオペラは迫力があり、もはや芸術を越えた一大スペクタクルのようです。恋の話の舞台あり、夏のオペラありと、なんともロマンティックな街、ベローナは2000年に世界遺産に登録されました。

出典 KNT近畿日本ツーリスト(株)世界遺産情報について 情報

デジタル大辞泉プラス 「ベローナ」の解説

ベローナ

Vリーグに参加するバレーボールチーム、豊田合成トレフェルサのチームマスコット。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

今日のキーワード

ビャンビャン麺

小麦粉を練って作った生地を、幅3センチ程度に平たくのばし、切らずに長いままゆでた麺。形はきしめんに似る。中国陝西せんせい省の料理。多く、唐辛子などの香辛料が入ったたれと、熱した香味油をからめて食べる。...

ビャンビャン麺の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android