ホーキング(読み)ほーきんぐ(英語表記)Stephen W. Hawking

日本大百科全書(ニッポニカ)「ホーキング」の解説

ホーキング
ほーきんぐ
Stephen W. Hawking
(1942―2018)

イギリスの物理学者。オックスフォードに生まれる。1962年オックスフォード大学数学部、物理学部を首席で卒業し、一般相対性理論を学ぶためケンブリッジ大学大学院の応用数学と理論物理学の研究生となる。この時代に難病の筋萎縮性側索硬化症(きんいしゅくせいそくさくこうかしょう)にかかるが研究を続け、宇宙の始まりのビッグ・バンは、大きさがゼロで密度が無限大という「特異点」となってしまうことを証明、またブラック・ホールの研究では、そこに入ったものは何も抜け出せないとされていたが、熱が放射されていて、そのためブラック・ホールの蒸発もあることを発見した。1974年イギリス・ロイヤル・ソサイエティーの最年少会員、1979年ケンブリッジ大学のルーカス記念講座数学教授になった。1985年に肺炎を患い気管切開手術をしてからは話すことができなくなったが、ポータブルコンピュータと音声合成装置を使って講演や執筆活動を行っていた。著書に、世界的なベストセラーとなった一般読者向け宇宙論『ホーキング、宇宙を語る』A Brief History of Time(1988)のほか、『ホーキング、未来を語る』The Universe in a Nutshell(2001)、イギリスの理論物理学者ロジャー・ペンローズと行った宇宙論連続講義の記録『ホーキングとペンローズが語る時空の本質』The Nature of Space and Time(1996)などがある。

[編集部 2018年3月19日]

『ホーキング著、佐藤勝彦監訳『ホーキングの最新宇宙論――ブラックホールからベビーユニバースへ』(1990・日本放送出版協会)』『ホーキング著、佐藤勝彦監訳『時間順序保護仮説』(1991・NTT出版)』『ホーキング編、林一訳『「ホーキング、宇宙を語る」ガイドブック』(1992・早川書房)』『ホーキング著、佐藤勝彦監訳『宇宙における生命』(1993・NTT出版)』『ホーキング・佐藤勝彦・高柳雄一著『創造の種』(1995・NTT出版)』『ホーキング、ペンローズ著、林一訳『ホーキングとペンローズが語る時空の本質――ブラックホールから量子宇宙論へ』(1997・早川書房)』『佐藤勝彦訳『ホーキング、未来を語る』(2001・アーティストハウス)』『林一訳『ホーキング、宇宙を語る――ビッグバンからブラックホールまで』(ハヤカワ文庫)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「ホーキング」の解説

ホーキング
Hawking, Stephen

[生]1942.1.8. オックスフォード
[没]2018.3.14. ケンブリッジ
イギリスの理論物理学者。フルネーム Stephen William Hawking。1962年オックスフォード大学を卒業したのち,1966年ケンブリッジ大学トリニティ校で学位取得。1977年には同大学教授となり,さらに 1979年には伝統あるルーカス教授職に就任。主として一般相対性理論分野で理論的研究を推し進め,1963年,ブラックホール特異点定理の業績を発表して世界に名を知られた。続いて 1971年には創成直後の宇宙においてミニブラックホールが多数発生するという理論を提唱,また 1974年,ブラックホールは素粒子を放出することによりその勢力を弱め,消滅するという理論(ホーキング輻射)を展開,それらはやがて量子宇宙論へと発展した。晩年は,宇宙の創成期との関連で重力の量子論構築に取り組んだ。1960年代初めから筋萎縮性側索硬化症 ALSの症状に苦しめられた。物理学への多大な貢献により,多くの国でその栄誉をたたえられた。1974年,イギリスのロイヤル・ソサエティの最年少会員に選出された。また,1982年には大英帝国三等勲功章 CBEを,1989年には名誉勲章 CHを授与された。そしてロイヤル・ソサエティからは 2006年にコプリー・メダルを,アメリカ合衆国からは 2009年に大統領自由勲章を受けた。2008年,カナダのオンタリオ州ウォータールーにあるペリメーター理論物理学研究所に,客員教授として招聘された。一般向け著書も多く,『ホーキング、宇宙を語る』A Brief History of Time: From the Big Bang to Black Holes(1988)は世界的なベストセラーとなった。ほかに『ホーキング、未来を語る』The Universe in a Nutshell(2001),『ホーキング、宇宙と人間を語る』The Grand Design(2010。レナード・ムロディナウとの共著)などが日本でも翻訳出版された。

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百科事典マイペディア「ホーキング」の解説

ホーキング

英国の物理学者。オックスフォード大学,ケンブリッジ大学で学び,1974年王立協会(ローヤル・ソサエティ)会員,現在ケンブリッジ大学ルーカス記念講座教授。神経を侵す難病(筋萎縮性側索硬化症)のため話すことも歩くこともできない車いすの科学者。初期宇宙はひじょうに小さく,量子力学的な効果が無視できなかった時期があるとして,相対性理論量子力学を結びつけた新しい宇宙創成の理論を展開。著書に《ホーキング,宇宙を語る》など。

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