骨格と眼と心臓血管系の異常を特徴とする遺伝性の病気で,1896年フランスの小児科医マルファンB.J.A.Marfan(1858-1940)がこの病気の骨格の異常を記載したことから,この名で呼ばれている。知能は侵されないが,患者の体型は細長く,手足が長く,関節の支持がゆるい。手足の指は細長く,くも指症と呼ばれる。脊柱や胸郭にも変形がみられる。眼は水晶体の支持が弱く,偏位し,脱臼しているのが特徴的であるが,近視や網膜剝離(はくり)などもみられる。心臓血管系の異常は生命にかかわるものが多く,上行大動脈の拡張,大動脈弁閉鎖不全,解離性大動脈瘤,僧帽弁閉鎖不全などを生じる。この病気の本態はまだ解明されていないが,結合組織の先天性の異常によると考えられている。常染色体優性遺伝性疾患で,人種によらず発生し,性差もない。アメリカの第16代大統領A.リンカンはマルファン症候群であったといわれている。
→遺伝病 →心臓弁膜症
執筆者:柳沢 正義
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…東京など各地の〈酉(とり)の市〉が扱う熊手は,落葉などをかき集める竹製の道具の模型を飾りたてたもので,1年間の福をかき集め繁盛を願う室内装飾品だが,もとは鉄のつめをもつ武器だった。マルファン症候群の患者などに〈蜘蛛(くも)指〉という指の長い手を見るが,指を蜘蛛の長脚にたとえた名称である。巨人症などでは手も大きく,すでに松浦静山《甲子(かつし)夜話》には手首より中指先まで約29cmある身長7尺3寸(約2m20cm)の釈迦嶽(しやかがたけ)という力士の手形の話がある。…
※「マルファン症候群」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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