マルファン症候群(読み)マルファンショウコウグン(その他表記)Marfan's syndrome

デジタル大辞泉 「マルファン症候群」の意味・読み・例文・類語

マルファン‐しょうこうぐん〔‐シヤウコウグン〕【マルファン症候群】

身長が高く手足が細長いなどの骨格異常や、目の水晶体心臓血管系の異常を主症状とする病気常染色体顕性遺伝を示すが、詳しい原因は不明。フランスの小児科医マルファン(B.J.A.Marfan)が最初蜘蛛肢くもしとして報告

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改訂新版 世界大百科事典 「マルファン症候群」の意味・わかりやすい解説

マルファン症候群 (マルファンしょうこうぐん)
Marfan's syndrome

骨格と眼と心臓血管系の異常を特徴とする遺伝性の病気で,1896年フランスの小児科医マルファンB.J.A.Marfan(1858-1940)がこの病気の骨格の異常を記載したことから,この名で呼ばれている。知能は侵されないが,患者の体型は細長く,手足が長く,関節の支持がゆるい。手足の指は細長く,くも指症と呼ばれる。脊柱胸郭にも変形がみられる。眼は水晶体の支持が弱く,偏位し,脱臼しているのが特徴的であるが,近視網膜剝離はくり)などもみられる。心臓血管系の異常は生命にかかわるものが多く,上行大動脈拡張大動脈弁閉鎖不全解離性大動脈瘤僧帽弁閉鎖不全などを生じる。この病気の本態はまだ解明されていないが,結合組織先天性の異常によると考えられている。常染色体優性遺伝性疾患で,人種によらず発生し,性差もない。アメリカの第16代大統領A.リンカンはマルファン症候群であったといわれている。
遺伝病 →心臓弁膜症
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家庭医学館 「マルファン症候群」の解説

まるふぁんしょうこうぐん【マルファン症候群】

 心臓を出てすぐの大動脈のつけ根の部分が、らっきょう型や西洋ナシ型にふくらみ、大動脈輪も拡大している先天性の病気で、常染色体優性遺伝(じょうせんしょくたいゆうせいいでん)します。
 生命にかかわることがあるので、早期の手術が必要です。
 目の水晶体(すいしょうたい)の脱臼(だっきゅう)、近視(きんし)、骨格の異常(手足や指が異常に長い、背が高いなど)をともないますが、これらを完全に治すことは残念ながらできません。

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世界大百科事典(旧版)内のマルファン症候群の言及

【手】より

…東京など各地の〈酉(とり)の市〉が扱う熊手は,落葉などをかき集める竹製の道具の模型を飾りたてたもので,1年間の福をかき集め繁盛を願う室内装飾品だが,もとは鉄のつめをもつ武器だった。マルファン症候群の患者などに〈蜘蛛(くも)指〉という指の長い手を見るが,指を蜘蛛の長脚にたとえた名称である。巨人症などでは手も大きく,すでに松浦静山《甲子(かつし)夜話》には手首より中指先まで約29cmある身長7尺3寸(約2m20cm)の釈迦嶽(しやかがたけ)という力士の手形の話がある。…

※「マルファン症候群」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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