ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マンロー」の意味・わかりやすい解説
マンロー
Munro, Alice
[没]2024.5.13. ポートホープ
アリス・マンロー。カナダの作家。旧姓 Laidlaw。オンタリオ州の貧しい農場に生まれ,母は教師だった。ウェスタンオンタリオ大学で 2年間英語とジャーナリズムを学ぶ。1951年に最初の夫ジェームズ・マンローと結婚,ビクトリアで書店を開き,3人の娘を育てた。その後離婚,のちに再婚。10代で小説を書き始めた。結婚後,家事や育児のかたわら小さな文学雑誌などに作品を発表し,1968年に初の短編集 "Dance of the Happy Shades"を出版,カナダで最も権威ある総督文学賞を受賞した。その後 "Who Do You Think You Are?"(1978)で 2度目の,"The Progress of Love"(1986)で 3度目の総督文学賞を受賞。"The Love of a Good Woman"(1998)はカナダの著名な文学賞であるジラー賞と全米批評家協会賞を受賞した。2001年に短編集『イラクサ』Hateship, Friendship, Courtship, Loveship, Marriageを出版,その中の 1編でアルツハイマー病を扱った「クマが山を越えてきた」The Bear Came over the Mountainは 2006年,サラ・ポーリー監督により『アウェイ・フロム・ハー 君を想う』Away from Herとして映画化され,高い評価を得た。2004年 "Runaway"で 2度目のジラー賞受賞。そのほかの代表作に『林檎の木の下で』The View from Castle Rock(2006),『小説のように』Too Much Happiness(2009)などがある。2009年,女性として初めて国際ブッカー賞を受賞。最後の作品集と宣言した『ディア・ライフ』Dear Life(2012)には四つの半自伝的物語が含まれている。フラナリー・オコナーやキャサリン・アン・ポーターなど 20世紀アメリカ南部の女性作家から影響を受け,鋭い洞察と共感によって人間の機微をとらえ,精緻で色彩感豊かな文体で表現する。2013年,カナダ人初のノーベル文学賞を授与された。
マンロー
Munro, Sir Thomas
[没]1827
イギリスの軍人,政治家。初めイギリス東インド会社軍の軍人として,第2次マイソール戦争や第3次マラータ戦争などに従軍。 1792年インドのセーレムで地税査定に携わり,ライーヤトワーリー制度を勧告,1812年以降マドラスで施行。 1820~24年マドラス知事を務めた。
マンロー
Munro, Thomas
[没]1974.4.14. サラソタ
アメリカの美学者。クリーブランド美術館勤務,美学誌"Journal of Aesthetics and Art Criticism"の編集者。実験美学の流れに立ち,芸術の諸相を,形態学と心理学との両面から考察している。著書"Toward Science in Aesthetics" (1956) ほか多数。
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