明礬石(読み)ミョウバンセキ(英語表記)alunite

翻訳|alunite

デジタル大辞泉 「明礬石」の意味・読み・例文・類語

みょうばん‐せき〔ミヤウバン‐〕【明×礬石】

カリウムアルミニウムの含水硫酸塩鉱物白色または灰・桃色で、ガラス光沢がある。六方晶系火山岩が変質した所に多く、繊維状・塊状で産出する。カリ肥料原料

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精選版 日本国語大辞典 「明礬石」の意味・読み・例文・類語

みょうばん‐せきミャウバン‥【明礬石】

  1. 〘 名詞 〙 カリウム・アルミニウムの含水硫酸塩鉱物無色あるいは淡色半透明、ガラス光沢がある。六方晶系。熱水変質作用を受けた火山岩中に板状粒状などの結晶集合体で産する。〔鉱物字彙(1890)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「明礬石」の意味・わかりやすい解説

明礬石
みょうばんせき
alunite

カリウム、アルミニウムを主成分とする含水硫酸塩鉱物の一つ。熱水作用産物として既存の岩石を交代し、黒鉱鉱床中、浅熱水鉱脈鉱床中、堆積(たいせき)性硫黄(いおう)鉱床中などに産する。自形は六角板状あるいは菱(りょう)面体。多く微細な土状物質を構成する。類質同像(類似した化学組成で結晶構造が同じ)の関係にある多くの硫酸塩、リン酸塩、ヒ酸塩鉱物があり、これらの中間物のなかには、鉱物の系統分類単位にまたがって位置するものもある。日本では、静岡県船原(ふなばら)峠、同賀茂(かも)郡西伊豆町宇久須(うぐす)鉱山閉山)、青森県下北(しもきた)郡川内(かわうち)町(現、むつ市川内町)大揚(おおあげ)鉱山(閉山)、兵庫県朝来(あさご)市生野(いくの)町栃原(とちはら)など産地は多い。英名はラテン語の明礬を意味するalumenに由来する。

[加藤 昭 2018年10月19日]


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改訂新版 世界大百科事典 「明礬石」の意味・わかりやすい解説

ミョウバン(明礬)石 (みょうばんせき)
alunite

化学組成KAl3(SO42(OH)6であらわされる鉱物。六方晶系。底面(0001)に良好なへき開がある。菱面体の結晶または板状,鱗片状,塊状。モース硬度3.5~4,もろい。比重2.6~2.9。ガラス光沢。白,帯灰色,帯黄色,帯赤色,帯褐色。熱すると微音を発してはねる。火山岩地帯に熱水変質作用によって生ずる。アルミニウム,焼きミョウバン,カリ肥料などの原料として用いられた。日本では兵庫県栃原蠟石鉱床から産出するが,用途がなく廃棄されている。
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化学辞典 第2版 「明礬石」の解説

明ばん石
ミョウバンセキ
alunite

XY3(SO4)2(OH)6で表される明ばん石族の一つで,X = K,Y = Alである鉱物.天然には,通常カリウムの一部をナトリウムが置換した(K,Na)Al3(SO4)2(OH)6が産出することが多い.密度2.7~2.8 g cm-3.六方晶系,格子定数 a0 = 0.696,c0 = 1.735 nm.Na > Kであるものをソーダ明ばん石とよぶ.淡黄,淡紅色の塊状または繊維状,多片状を呈する.火山の噴気や,熱水が岩石を変質する際に生じ,大規模な鉱床となることもある.500 ℃ で脱水して分解する.水,塩酸,硝酸に不溶.しゃく熱すると硝酸に溶ける.

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百科事典マイペディア 「明礬石」の意味・わかりやすい解説

ミョウバン(明礬)石【みょうばんせき】

化学組成がKAl3(SO42(OH)6の硫酸塩鉱物。火山岩の熱水変質作用または硫気ガス,黄鉄鉱などから生じた硫酸が岩石に作用してできる。結晶は菱(りょう)面体または六角板状で六方晶系。もろく,硬度3.5〜4,比重2.82。半透明でガラス光沢があり白〜灰色。カリ肥料の原料として利用された。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「明礬石」の意味・わかりやすい解説

明礬石
みょうばんせき
alunite

三方晶系の鉱物。 KAl3(SO4)2(OH)6 。カリウム,アルミニウムは,ナトリウム,鉄でそれぞれ置換されることがある。板状,硬度 3.5~4,比重 2.75~2.82。白,灰,黄色など。火山性の熱水溶液,噴気などによる岩石の変質鉱物。ミョウバンの原料となる。

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世界大百科事典(旧版)内の明礬石の言及

【ミョウバン(明礬)】より

…火山の昇華物として産することが多いが,黄鉄鉱の酸化で生じた硫酸のため,長石類が変成して生成することもある。またミョウバン石と呼ばれるものはKAl(SO4)2・2Al(OH)3のような組成の塩基性塩であって,ミョウバンではない。カリナイトやミョウバン石は硫酸酸性溶液から結晶させるとミョウバンが得られる。…

※「明礬石」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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