メガントロプス
めがんとろぷす
Meganthropus
ジャワ島中部のサンギラン出土の化石人類。学名のメガントロプス・パラエオジャワニクスM. palaeojavanicusは、古いジャワの巨人の意。1941年にオランダの人類学者ケーニヒスワルトが、53年にはインドネシアのマルクスが下部更新世(洪積世)地層より発見。左右の下顎(かがく)骨破片はゴリラ並みの大きさであるが、小臼歯(きゅうし)や大臼歯は人類的である。一時期ドイツの人類学者ワイデンライヒが本標本とギガントピテクスをもとに人類祖先巨人説を唱え、また南アフリカのロビンソンは本標本をアウストラロピテクス類と結び付けたが、今日ではいずれも立ち消えている。大型の原人とみるのがよいようであるが、標本が不十分なため、将来の研究がまたれる。なお、1939年タンザニアのガルーシ出土の標本はメガントロプス・アフリカヌスとよばれたが、今日ではアウストラロピテクス・アフリカヌスだとされている。
[香原志勢]
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メガントロプス
Meganthropus
1941年ジャワ島中部にあるサンギラン遺跡のジェティス層から発見された化石人類。メガントロプス・パレオジャバニクス M. palaeojavanicusと名づけられた。人骨は小臼歯と大臼歯部の下顎骨片であり,名称のとおり巨大で現生ゴリラの大きさに匹敵する。下顎底部は厚く,頑強であるが,類人猿にみられる下顎内面の隆起 (さるの棚) はない。歯は特に大きく,歯冠表面積は現生人類の2倍もあるが,形態はヒト的である。年代は更新世前期 (約 100万年前) と推定されている。この人類の系統的位置づけはまだ確定しておらず,アウストラロピテクスの一種との説は現在は支持されていない。
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メガントロプス
1941年オランダの古生物学者ケーニヒスワルトがジャワのソロ川上流のサンギラン地方で発見した化石人骨。メガントロプス・パレオジャバニクスと命名。下顎骨と歯が巨大なためこの名がある。また,1978年同じサンギランで,インドネシアの人類学者テクウ・ヤコブによって,メガントロプスと推定される歯と顔面のついた頭骨が発見された。ピテカントロプスともアウストラロピテクスとも異なる特徴をもつといわれる。この化石はサンギランでも古いプチャンガン層から出土していることから,約100万年前の原人と考えられている。サンギランの遺跡は1996年世界文化遺産に登録された。
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メガントロプス【Meganthropus】
インドネシアのジャワ島で発見された洪積(更新)世前期の末葉,約100万年前のヒト科化石。人類化石の産地として知られるサンギランSangiranのプチャガン層で1939年と41年に発見された2個の下顎骨の破片が,それまでに知られていたピテカントロプスに比べて異常に大きかったため,発見者のG.vonケーニヒスワルトはこれを新属新種と考えてメガントロプス・パラエオヤワニクスM.palaeojavanicusと命名した。
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世界大百科事典内のメガントロプスの言及
【原人】より
…出土地点は更新世前期のプチャガン層上部からカブー層にわたっており,時代は約120万年前から約70万年前と推定されている。サンギラン出土の人類化石のなかには,大型の下顎骨があり,これを記載したケーニヒスワルトは,メガントロプスという名称を与えている。メガントロプスについては,原人の変異の幅を出ないという考えと,アフリカのアウストラロピテクス・ロブストゥスに近いという考えが出されており,意見の一致がまだみられていない。…
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