ギガントピテクス(読み)ぎがんとぴてくす(英語表記)Gigantopithecus

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ギガントピテクス」の意味・わかりやすい解説

ギガントピテクス
Gigantopithecus

中国およびインドで発見された中新世から更新世中期に属する巨大な化石霊長類属名ギガントピテクス・ブラッキ G.blacki という名は,ホンコン広東で発見された大きな 4本の大臼歯と 1本の犬歯に基づいて,1935年につけられた。1956年には中国南部の広西で 3個の下顎骨と多数の歯が発見された。1969年にはインド北部でも下顎骨が発見され,ギガントピテクス・ビラスプレンシス G.bilaspurensis という種名が与えられた。ギガントピテクス属とほかの霊長類との関係ははっきりしていない。ヒト科祖先と考えられたこともあったが,今日では絶滅した巨大な類人猿と考えられている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ギガントピテクス」の意味・わかりやすい解説

ギガントピテクス
ぎがんとぴてくす
Gigantopithecus

中国南部で発見された巨大な歯および頭骨をもつ化石霊長類の一種。オランダの古生物学者ケーニヒスワルトは1935年、香港(ホンコン)の薬種(やくしゅ)屋で、竜骨(りゅうこつ)(化石)として売られていたもののなかから、容積にして現代人の10倍にもなる巨大な大臼歯(きゅうし)を発見、購入し、これに対して「巨大なサル」の意のギガントピテクスという属名をつけた。これに人類的な特徴をみいだした人類学の泰斗ワイデンライヒはジャワ島出土のメガントロプスとあわせ考え、人類祖先巨人説を提唱したが、その後、同属のものが、中国南西部およびインドより発見され、大型化石類人猿であることが判明し、この説は否定された。しかし、中期更新世(洪積世)のもので、ホモ・エレクトゥスと同時代であることから注目されている。

[香原志勢]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android