メチレンブルー(読み)めちれんぶるー(英語表記)methylene blue

デジタル大辞泉 「メチレンブルー」の意味・読み・例文・類語

メチレン‐ブルー(methylene blue)

塩基性染料の一。ブロンズのような光沢のある暗緑色結晶。水・エタノールに溶けて青色となる。還元されると無色、酸化されると青色になるため、酸化還元指示薬利用。また、生体染色殺菌剤に用いる。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「メチレンブルー」の意味・読み・例文・類語

メチレン‐ブルー

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] methylene blue ) 塩基性青色染料。化学式は C16H18N3SCl・3H2O 暗緑色の光沢ある無臭の結晶または結晶性粉末日光に著しく弱い。染色ほか、化学実験用の分析用試薬や指示薬などに使われる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「メチレンブルー」の意味・わかりやすい解説

メチレンブルー
めちれんぶるー
methylene blue

チアジン骨格をもった塩基性染料で、1876年にドイツのH・カロによって合成された美しい青色の染料である。4-アミノジメチルアニリンチオ硫酸ナトリウムから合成する方法と、フェノチアジンをジメチルアミノ化する方法がある。暗緑青色の結晶または粉末。水、エタノール(エチルアルコール)によく溶ける。中性浴から絹、羊毛を染めることができる。また、木綿はタンニン媒染で染色可能である。しかし日光に弱く、染料としての実用価値は低い。還元により無色のロイコメチレンブルーleucomethylene blueとなるが、酸化により可逆的にメチレンブルーに戻る。このゆえに、酸化還元指示薬としての利用がある。このほか、殺菌剤としての医薬や機能検査薬、生体染色剤などにも利用される。

[飛田満彦]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「メチレンブルー」の意味・わかりやすい解説

メチレンブルー
methylene blue



メチルチオニンmethylthionineともいう。チアジン系塩基性染料。ジメチルアニリン-p-フェニレンジアミン原料とし,チオ硫酸ナトリウムNa2S2O3の存在で酸化縮合させ,さらに閉環して製造する。一般には塩素Clアニオンを付けているが,塩化亜鉛ZnCl2と複塩の形の染料とすることもある。深青色の結晶で,水,エチルアルコールに溶解して青色を呈する。塩基性染料の特色として美麗な濃青色だが,耐光性が著しく低く,特別な場合を除いて繊維染色には用いられない。水溶液は温和な殺菌力をもつため,医用,生きた魚の消毒に用いられるほか,皮,紙の染色,細菌学や病理学における染色剤として使用される。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

化学辞典 第2版 「メチレンブルー」の解説

メチレンブルー
メチレンブルー
Methylene Blue

3,9-bis(dimethylamino)phenothiazinium chloride.C16H18ClN3S(319.85).C.I.Basic Blue 9ともいう.N,N-ジメチル-p-フェニレンジアミンと硫化物イオンを塩酸と鉄イオンの存在下に縮合させると得られる.青銅様の光沢のある暗緑色の結晶.水,エタノールに易溶(青色).還元されて無色(ロイコ化合物)となり,酸化によってもとの青色に戻る.一般的な青色染料としての用途のほか,生体染色,酸化還元指示薬として広く用いられる.標準酸化還元電位(pH 7)0.01 V.メトヘモグロビン血症の治療薬として用いられる.[CAS 61-73-4]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「メチレンブルー」の意味・わかりやすい解説

メチレンブルー
methylene blue

青銅色の光沢をもった暗緑色,無臭の結晶。 C16H18ClN3S・3H2O で表わされる。水,アルコール,クロロホルムに可溶。水溶液は青色を呈する。ジメチルアニリンとチオ硫酸から合成される塩基性染料。木綿,レーヨン,絹,羊毛を青色に染める。酸性溶液中でチタン (III) 塩,バナジウム (II) 塩,クロム (II) 塩,スズ (II) 塩,銅 (I) 塩,モリブデン (III) 塩,タングステン (V) 塩などにより還元され,無色のロイコ化合物となるので,これらの検出や定量に利用できる。またロイコ化合物は塩素酸塩,クロム酸塩,バナジウム酸塩,鉄 (III) 塩,酸素などによって酸化され復色するので,これらの検出にも利用される。さらに酸化還元指示薬,生細胞の酸化還元能力の検出,細胞の核染色用,血球の染色用などとしても用いられる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

栄養・生化学辞典 「メチレンブルー」の解説

メチレンブルー

 C16H18ClN3S (mw319.86).

 青色の酸化還元色素で,還元されると白色のロイコメチレンブルーとなる.酸化還元の指示薬として,また人工の水素受容体として使われる.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

百科事典マイペディア 「メチレンブルー」の意味・わかりやすい解説

メチレンブルー

代表的な青色塩基性染料。メチルチオニンともいうチアジン系染料の一種。市販品は銅赤色の粉末。水,アルコールに溶けて青色を示す。古い歴史をもち,タンニン媒染で木綿を青く染めるが日光に弱い。生体組織の染色に重要で,水溶液には殺菌力がある。(図)

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android