メンケン(読み)めんけん(英語表記)Henry Louis Mencken

日本大百科全書(ニッポニカ) 「メンケン」の意味・わかりやすい解説

メンケン
めんけん
Henry Louis Mencken
(1880―1956)

アメリカのジャーナリスト批評家。出身地ボルティモアの『イブニング・ヘラルド』など各種の新聞紙上で、終生、活躍。また高級文芸誌『スマート・セット』や『アメリカン・マーキュリー』を舞台に、ピューリタニズム、「お上品な伝統」、デモクラシーなど、アメリカ文化の因襲性や自己満足的傾向を痛烈に批判。同時に、ドライサー、S・アンダーソン、H・S・ルイスら同時代の新進作家擁護の論陣を張るなど、1920年代のもっとも有力な戦闘的批評家であった。著作は『偏見集』6巻(1919~1927)、ニーチェやG・B・ショーの研究、『自伝』3巻(1940~1943)など。ほかに学究的な『アメリカ英語』(初版1919)があり、アメリカ英語の先駆的研究として評価される。

[渡辺利雄 2018年8月21日]

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改訂新版 世界大百科事典 「メンケン」の意味・わかりやすい解説

メンケン
Henry Louis Mencken
生没年:1880-1956

アメリカのジャーナリスト,批評家。雑誌《スマート・セット》《アメリカン・マーキュリー》の編集者として健筆ふるい,第1次大戦前後のアメリカ・ジャーナリズム界の中心的な位置を占めた。彼の批評は,当時の社会,政治,宗教文学などアメリカ文化全般に及び,とくに,中産階級の偽善的な俗物主義,ピューリタニズムの攻撃に向けられた。文芸批評家としては,既成道徳に沿う〈お上品な伝統〉の文学を排し,ドライサー,S.アンダーソン,シンクレア・ルイスオニールなどの作家を擁護して世に送った。独特なユーモア毒舌をまじえた偶像破壊の批評は多くの読者を獲得し,とくに評論集《偏見録》6集(1919-27)は若い世代の聖典とみなされた。その他,アメリカ語の独立を宣言した《アメリカ英語》(1919,以後改訂3回,補巻2)のほか,3巻の自伝がある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「メンケン」の意味・わかりやすい解説

メンケン
Mencken, Henry Louis

[生]1880.9.12. メリーランド,ボルティモア
[没]1956.1.29. メリーランド,ボルティモア
アメリカの批評家,ジャーナリスト。 1899年『ボルティモア・モーニング・ヘラルド』紙に関係して以来,終生ジャーナリズムの世界で活躍。 1908年『スマート・セット』誌の文芸欄を担当,のち主宰。 1924年には G.ネーサンと『アメリカン・マーキュリー』 American Mercury誌を創刊,1933年まで編集。これに拠って,ピューリタニズムなど既成の価値や信念を攻撃,同時にアメリカ独自の文学を主張し,ドライサー,S.アンダーソンらを擁護して,1920年代の若い文学者に大きな影響を与えた。またアメリカ英語を独立した一言語とみる立場から膨大な資料を駆使して完成した『アメリカ英語』 The American Language (1919,改訂 1921,1923,1936) とその『補遺』 Supplements (2巻,1945,1948) は高く評価されている。『偏見集』 Prejudices (6巻,1919~27) など多くの評論,『幸福な日々』 Happy Daysをはじめとする3部作の自伝 (1940~43) がある。

メンケン
Menken, Adah Isaacs

[生]1835? ニューオーリンズ
[没]1868.8.10. パリ
アメリカの女優。本名 Dolores Adios Fuertes。 13歳で踊り子として成功。のち女優を志してアメリカ各地やロンドン,パリの劇場に出演。演技よりもはなやかな魅力で人気があり,スウィンバーン,ディケンズら当時の文学者たちの間にも多くのファンをもっていた。

メンケン
Menken, Helen

[生]1901.12.12. ニューヨーク
[没]1966.3.28. ニューヨーク
アメリカの女優。 1906年『夏の夜の夢』の子役でデビュー,『第七天国』 (1922) で人気を博し,その他ポーシャ,オフィーリア役などでシェークスピア劇にも出演した。

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普及版 字通 「メンケン」の読み・字形・画数・意味

【冥】めんけん

めくらむ。漢・揚雄〔甘泉の賦〕仰いで首を(あ)げて高くる。目冥して見る(な)し。

字通「冥」の項目を見る


繭】めんけん

饅頭。

字通「」の項目を見る


【瞑】めんけん

めくらむ。

字通「瞑」の項目を見る

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百科事典マイペディア 「メンケン」の意味・わかりやすい解説

メンケン

米国の批評家。1924年《アメリカン・マーキュリー》誌を刊行して論陣を張り,ドライサーオニールに影響を与えた。米国独自の文学を主張,評論集《偏見》(1919年―1927年)のほか,アメリカ英語に関する古典的研究《アメリカ英語》(1919年)や自伝がある。

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世界大百科事典(旧版)内のメンケンの言及

【アメリカン・マーキュリー】より

…1924年H.L.メンケンとG.J.ネーサンが創刊したアメリカの月刊誌。ネーサンは最初の1年で編集をやめ,34年までメンケン色の濃い雑誌となった。…

※「メンケン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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