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ライチョウ Lagopus muta; rock ptarmigan

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ライチョウ
Lagopus muta; rock ptarmigan

キジ目キジ科。全長 37cm。夏羽(→羽衣)では,頭,背,胸部は褐色(雄のほうが雌より濃い)で,黄白色と黒色の細かい横斑が密にある。腹部とは白色,尾羽は黒い。冬羽では,尾羽が黒く,体のほかの部分は純白で,雄には黒い過眼線がある。夏羽,冬羽とも,眼の上に皮膚の裸出した赤い肉冠があり,雄のほうが雌より大きい。北半球の高緯度地域と北極圏一帯,イギリス北部,ピレネー山脈アルプス高山帯,ロシアのシホテアリン山脈,日本の高山帯に繁殖分布している。日本では,北アルプス南アルプスなどの標高 2000~3000mの高山のハイマツ帯にのみ繁殖し,冬季も,少し標高の低いところに降りるくらいで雪の世界にすみついている。氷河時代遺存種で,温暖化が進むと寒冷な高山に取り残されて北方へ移動できなかった鳥である。なお,ライチョウ類は 19種に分類され,すべて北半球に分布している。全体的な形態はキジに似ている。キジ目の他科の鳥と異なる点は,鼻孔が羽毛で隠れていること,趾(あしゆび)の後ろを向いた第 4指(後趾)が前を向いた 3指よりかなり高い位置についていること,脚の一部あるいは全部に羽毛が生えていること,がないことなどである。日本には本種とエゾライチョウが分布している。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

ライチョウ

国の特別天然記念物環境省のレッドリストの分類では昨年、近い将来に野生での絶滅の危険性が高い「絶滅危惧1B類」に格上げされた。日本では中部地方の高山帯にだけ生息し、世界の分布では最南端に位置する。約2万年前の氷河期に、地続きだった大陸から日本列島に移動。氷河期が終わると海で隔てられ、寒い高山帯に逃れて生き残った。国内には約30年前に約3千羽いたが、いまは2千羽以下に減ったと推定されている。中央アルプス白山などでは絶滅し、白山では2009年に雌1羽が70年ぶりに確認された。

(2013-12-27 朝日新聞 朝刊 岐阜全県 1地方)

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ライチョウ
らいちょう / 雷鳥
ptarmigan

広義には鳥綱キジ目キジ科ライチョウ亜科に属する鳥の総称で、狭義にはそのうちの一種をさす。この亜科Tetraoninaeは7属16種からなる。短く頑丈な嘴(くちばし)と、先が丸い短い翼をもつ。尾は長くない。キジ目のほかの鳥とは、とくに足に違いがあり、第一趾(し)(後趾)の位置が高くて短い、けづめがない、足指の全部または一部まで羽で覆われていることなどが特徴で、少数の種を除いて冬期に足指に櫛(くし)状の付属物ができる。鼻孔は羽で覆われている。羽色はじみで、褐色、白、黒などである。北半球に分布し、日本には種のライチョウのほか、北海道にエゾライチョウTetrastes (Bonasa) bonasiaがいる。おもに地上で生活し、あまり飛ばない。ほとんど渡りはしないが、寒帯や高山のものは、やや移動して越冬する。木の実、葉など植物質をおもに食べる。最大種はヨーロッパからシベリア西部に分布するキバシオオライチョウTetrao urogallusで、全長は雄で約86センチメートル、雌は約60センチメートル、雄の体重は4キログラムを超える。嘴は黄色。雄は翼が濃褐色、体と尾は黒く、雌は褐色のまだらである。シベリアにはやや小形のオオライチョウTetrao parvirostrisが分布している。嘴は黒い。両種は、春になると尾を扇形に立て、やかましく鳴く雄のディスプレーで有名である。ほかにクロライチョウLyrurus tetrixなどがいる。
 種のライチョウLagopus mutusは、北半球北部に広く分布するが、ヨーロッパのアルプス、ピレネー山脈、アイスランド、スコットランド、北米のニューファンドランド、日本と、生息地は散在する。季節によって羽色が変わる鳥として知られ、日本では本州の中部地方の2400メートル以上の高山地帯に限り分布し、特別天然記念物に指定されている。全長約36センチメートル。雄のほうがやや大きい。雄は目先が黒く、目の上に赤い半円形の裸出部がある。雌の目の上の裸出部は小さく、夏の間だけ赤い。翼、足指の先まで生えている足の羽、下尾筒および尾の中央2枚は白く、黒いほかの尾羽とともに、晩夏に一度の換羽をするだけで一年中同じ色であるが、ほかの部分は、晩夏、初秋、初春に換羽し、それぞれ羽色が異なる。冬羽は全身ほぼ白い。夏羽は雄が黒褐色、雌が黄褐色、秋羽は雄が灰褐色、雌が黄褐色で、それぞれ濃淡の複雑な斑紋(はんもん)をもつ。ハイマツ帯とお花畑にすみ、歩き回りながら、葉、芽、花、種子など植物質のものを採食する。4月ごろ、雄は繁殖のための縄張り(テリトリー)を構え、そこに入った雌とつがいになる。雌雄でハイマツの下に巣をつくり、5~7月に4~8卵を産み、雌だけが21~23日間抱卵する。雄は孵化(ふか)まで縄張りを守り、その後は雄だけの小群をつくる。繁殖期の雄はしばしばグァーと低い声で鳴く。[竹下信雄]

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