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ラクタム lactam

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ラクタム
lactam

分子内に -NHCO- を含む環式化合物の総称。アミノ酸アミノ基カルボキシル基から水を失って生じる。水,エチルアルコールエーテルに溶け,ラクチムと互変異性をする。ε-カプロラクタム (ε-アミノカプロン酸) ,2-インドリノン (オルトアミノフェニル酢酸) などがあり,ナイロン6はε-カプロラクタムからつくられる。ペニシリンはβ-ラクタムの骨格を有する。

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世界大百科事典 第2版の解説

ラクタム【lactam】

分子内に-NHCO-を含む複素環式化合物の総称で,アミノ酸のカルボキシル基-COOHとアミノ基-NH2との分子内反応により水1分子がとれた環式酸アミドにあたる。環を形成する原子の数が4個のものをβ‐ラクタムといい,環員数が5,6,7,……と増加するにつれて順次γ‐,δ‐,ε‐,……ラクタムと呼ぶ。一般に融点の低い固体で,水,エチルアルコール,エーテルなどによく溶ける。強アルカリまたは強酸と加熱すると加水分解されてアミノ酸になる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ラクタム
らくたむ
lactam

環内にアミド基-CONH-をもつ複素環式化合物の総称。環の大きさにより、4員環のβ(ベータ)-ラクタム、5員環のγ(ガンマ)-ラクタム、6員環のδ(デルタ)-ラクタム、……に分類される。β-ラクタム、γ-ラタクム、δ-ラクタム、……はそれぞれβ-アミノ酸、γ-アミノ酸、δ-アミノ酸、……の環状アミドである。ラクタムは、相当するアミノ酸の加熱による環化、環状ケトンオキシムのベックマン転位、相当するラクトンとアンモニアとの反応により得られる。
 一般に融点が低い固体で、水、エタノール(エチルアルコール)、エーテルに溶ける。弱い塩基性と酸性をもっている両性化合物で、塩酸のような強い酸や水酸化ナトリウムのような強い塩基を作用させると塩を生成する。また、強酸や強アルカリと加熱すると加水分解されて相当するアミノ酸塩になる。
 工業的に重要なのは、ε(イプシロン)-カプロラクタムで6-ナイロンの原料として多量に合成されている。6-ナイロンはこの化合物の開環重合により製造する。またβ-ラクタムはペニシリン、セファロスポリン系の抗生物質の薬理作用の中心となる化学物質として知られている()。[廣田 穰]
『上田泰・清水喜八郎編『β-ラクタム系薬』(1987・南江堂)』

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世界大百科事典内のラクタムの言及

【酸アミド】より

…また,イミノ基NHをもつ第二アミドのうち,ジカルボン酸から生成する環状化合物をとくに酸イミド(イミド)と呼び他の第二アミドと区別することが多い。β‐,γ‐,δ‐アミノ酸が分子内で縮合環化したものはラクタムと呼ばれる。第一アミドの命名は,酸の翻訳名に〈アミド〉を続けるか,酸の英語名の接尾語〈‐ic acid〉を〈‐amide〉に変えた英語名の音訳を用いる(ギ酸アミド=ホルムアミド,酢酸アミド=アセトアミドなど)。…

※「ラクタム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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