リョクトウ (緑豆)
mung bean
green gram
Vigna radiata (L.) R.Wilczek
子実(豆)を食用としたり,発芽させて〈もやし〉野菜とするために栽培されるマメ科の一年草。ブンドウ,ヤエナリ,アオアズキなどとも呼ばれる。アズキに似て草丈60~130cm。葉は3枚の小葉からなり葉柄は長い。葉のつけ根から柄が伸び,8~20の花がつく。幅10mm,縦6mmほど。莢(さや)は5~12cm,幅5~6mmで,黒色または濃褐色に熟す。中に10~15の豆が入る。豆は長さ4~6mm,鮮緑色のほか黒褐色,黄金色などがある。100粒の重さは3~4g。原産地はインドで,古代に中国に伝わった。日本では17世紀ごろから栽培の記録があるが,実際にはもっと古くから栽培されていたらしく,縄文時代の鳥浜遺跡(鳥取県)から豆が出土している。インドや東南アジア,アフリカなどでは,豆を丸のまま,あるいは砕いてから煮て食用とする。日本での利用の中心は豆もやし用で,豆に水を吸わせ温度を上げて発芽させる。アメリカなどでは茎葉を緑肥や飼料用とする。
執筆者:星川 清親
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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リョクトウ
りょくとう / 緑豆
[学] Vigna radiata (L.) Wilczek
マメ科(APG分類:マメ科)の一年草。ヤエナリ、アオダイズ、アオマメなどの別名がある。東アフリカからインド、東南アジア、オーストラリアに至る広い地域に原生野生種があり、インドが栽培起源地と考えられている。茎はつる性または直立で、3小葉からなる葉はアズキに似るが、全体に褐色の毛が密生している。花は緑黄色で直径1センチメートルほどの蝶形花(ちょうけいか)。莢(さや)は5~10センチメートルで、表面に黒褐色の毛がある。種子は長さ2.5~4ミリメートルの楕円(だえん)体または球形で、緑色のものが多いが、褐色や黒色のものもある。粒の大きさがそろっているので、昔インドなどでは秤(はかり)の分銅として用いたといわれ、別名ブンドウともよばれる。
アフリカから東南アジア一帯に古代から栽培され、インドではダルとよぶスープ状にして常食としている。日本では記録としては17世紀が最古であるが、縄文時代の終わりころからすでに伝来して栽培されたともいわれる。煮豆や緑色の餡(あん)にしたり、はるさめの原料とされるほか、もやしとするのにもっとも適する。
野菜として需要の多いもやしは、現在はすべて東南アジアなどから輸入した黒褐色系のリョクトウが原料とされる。このため日本でリョクトウの栽培はほとんど消滅した。
[星川清親 2019年11月20日]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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リョクトウ
[Vigna radiata].緑豆と書く.マメ目マメ科インゲンマメ属に属する食用のマメの一つで,わが国ではモヤシにする.春雨を製造することもある.中国ではリョクトウのデンプンで春雨を作る.
出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報
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普及版 字通
「リョクトウ」の読み・字形・画数・意味
【緑
】りよくとう
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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世界大百科事典(旧版)内のリョクトウの言及
【豆】より
…南アメリカ原産の[インゲンマメ]はアフリカやインドでも主食的に利用される重要な豆類であるし,ボリビア原産の[ラッカセイ]は,その高い脂肪含有量のため広く食用にされ,どちらも世界の各地で栽培されている。その他にも〈もやし〉に多用されるインド原産の[リョクトウ],若い豆果が野菜とされるアフリカ原産のササゲ類([ササゲ],ヤッコササゲ,ジュウロクササゲなど)や,熱帯アジア原産の[ナタマメ]やシカクマメPsophocarpus tetragonolobus(英名fourangled bean),それに加えて中央アメリカや南アメリカ原産のライマメPhaseolus lunatus(英名lima bean),[ベニバナインゲン],インド原産の[ヒヨコマメ]や[フジマメ],アフリカ原産の[キマメ]など,多数の種が栽植され,利用されている。これら熱帯系の豆類のうちのいくつかは,温帯圏での夏作作物となっており,日本でも栽培されている。…
※「リョクトウ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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