改訂新版 世界大百科事典 「ルイ15世」の意味・わかりやすい解説
ルイ[15世]
Louis ⅩⅤ
生没年:1710-74
フランス国王。在位1715-74年。ブルゴーニュ公ルイの子で,ルイ14世の曾孫に当たる。未成年時代はオルレアン公フィリップが1723年まで摂政として政治を行った(〈摂政時代〉)。この期間には,前代のルイ14世時代の反動で名門貴族の国務会議への復帰がみられたが,〈多元会議制(ポリシノディ)〉と呼ばれるこの政治体制はうまく機能しなかった。ルイ14世ほど勤勉ではなかったルイ15世は,親政に入っても政務を大臣にゆだねることが多く,ポンパドゥール夫人やデュバリ夫人など寵妃の政治への口出しも許したが,老政治家フルリーが宰相であった治世の前半は,内外とも比較的平穏を保ち,経済も26年の抜本的な通貨安定策により順調な発展をみせた。しかし,治世の後半になると,56年から始まった七年戦争の結果,新大陸やインド植民地の多くを失い,同時に財政の窮乏化にも拍車がかけられた。経済の発展にもかかわらず国庫収入が増えないのは不合理な租税制度が原因だと考えた大臣たちは,二十分の一税の創設(1749),モープーの司法改革(1771)などの近代化のための改革に着手し始めたが,これは高等法院をはじめとする特権貴族の激しい反発を招き,ルイ15世には,この貴族反動を抑える断固とした決意が不足していた。こうして体制の危機が深まるとともに,アンシャン・レジームを支えてきた政治や経済の原則に根本的な批判を投げかける〈啓蒙思想〉が現れてきた。
執筆者:林田 伸一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報