ルヌービエ(その他表記)Renouvier, Charles Bernard

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ルヌービエ」の意味・わかりやすい解説

ルヌービエ
Renouvier, Charles Bernard

[生]1815.1.1. モンペリエ
[没]1903.9.1. プラド
フランス哲学者。 1834~36年エコール・ポリテクニク数学を学び,A.クールノと A.コント影響を受けた。初めは社会主義的立場から政治的活動を行なったが,51年末ナポレオン3世のクーデター後は哲学著述専念。 67年月刊誌『哲学年報』L'Année philosophiqueを創刊。 1900年道徳政治学アカデミー会員。カントの批判的精神の復興を主張するとともに,実証主義的要素をも加えて批判主義を徹底させたので,「新批判主義」とも呼ばれる (→批判哲学 ) 。徹底的個人主義をとりつつ人間や集団間の抗争を悪とみなし,教育によって個人の自由が完全に発現されれば,全的平和が訪れるとした。主著『一般批判試論』 Essai de critique générale (4巻,1854~64) ,『新単子論』 La nouvelle monadologie (99) ,『人格主義』 Le personnalisme (1902) など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルヌービエ」の意味・わかりやすい解説

ルヌービエ
るぬーびえ
Charles Renouvier
(1815―1903)

フランスの哲学者。モンペリエの生まれ。理工科大学校(エコール・ポリテクニク)を卒業。「一八四八年の革命」では共和主義者として活躍したが、その後思索生活に入る。カントの批判主義を受け継いでおり、その限りではドイツの新カント派の立場と類似し、新批判主義とも称される。だが、物自体、絶対者などをいっさい認めず、徹底した現象論の立場にたつ。現象としての外界を規定するのは関係のカテゴリーであり、これが次々に具体化されることによって、意識の統一としての人格が形成される。この「われ」の人格は自由なモナド(単子)であるとされるが、このように自我に自由を認めたところから、フランス特有の新カント主義の道徳的傾向が出てくる。著書に『一般批判論』(1854~1864)、『道徳の科学』(1869)、『新単子論』(1899)、『人格主義』(1902)などがある。

[足立和浩 2015年6月17日]

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改訂新版 世界大百科事典 「ルヌービエ」の意味・わかりやすい解説

ルヌービエ
Charles Renouvier
生没年:1815-1903

フランスの哲学者。当代の主潮流である実証主義に学びつつ,その感覚的経験主義を批判して,カントの批判主義をとり入れ,形而上学を排した認識の普遍的法則の定立を目ざした。その哲学は,〈新批判主義〉〈批判的合理主義〉と呼ばれ,19世紀フランス哲学に大きな影響を与えた。おもな著作に,《一般批判論》(1854-64),《道徳科学》(1869),《人格主義》(1902)などがある。
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