一を聞いて十を知る(読み)イチヲキイテジュウヲシル

デジタル大辞泉 「一を聞いて十を知る」の意味・読み・例文・類語

いちいてじゅう

《「論語公冶長から》物事一部を聞いただけで全部理解できる。賢明で察しのいいことのたとえ。一を以てばんを知る。
[類語]知的聡明賢明明哲目から鼻へ抜ける

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精選版 日本国語大辞典 「一を聞いて十を知る」の意味・読み・例文・類語

いち【一】 を 聞(き)いて=十(じゅう)を[=万(ばん)を]=知(し)る[=悟(さと)る]

  1. ( 「論語‐公冶長」の「回也、聞一以知十。賜也、聞一以知二」による ) 非常に賢くて理解がはやいことの形容少しのことを聞いて、他のすべてのことがわかる。
    1. [初出の実例]「太子問道。聞一知十。聞十知百」(出典聖徳太子伝暦(917頃か)上)
    2. 「算(さん)を心に入れて教へけるに、一の事を聞て十の事を悟る様也ければ」(出典:今昔物語集(1120頃か)二四)

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故事成語を知る辞典 「一を聞いて十を知る」の解説

一を聞いて十を知る

ものごとの一端を聞いただけで全体を理解できる、ということ。非常に賢くて理解がはやいことのたとえ。

[使用例] 元来これは本人すら無理な事をしているのですから、他人にはよほど通用しにくくなる訳であります。一を聞いて十を知ると云う事がありますが、一を見て十を感ずる人でなければできない事です[夏目漱石*創作家の態度|1908]

[使用例] 一をきいて十を知る勉強に踏み出しましょう。一を聞いて十を知る、それも自由学園の皆がもっている大きなねがいの一つです[羽仁もと子*教育三十年|1950]

[由来] 「論語こうちょう」に載っている、孔子弟子こうのことば。子貢とほぼ同い年の孔子の弟子に、非常に頭のよいがんかいという人物がいました。あるとき、子貢は、孔子から「おまえさんと顔回とは、どちらがすぐれていると思うか」と質問されます。子貢が、「顔回と比べるなんて、とんでもない。あいつは『一を聞いてもって十を知る(一つのことを聞いただけで一〇のことを理解します)』。私は、一つ聞いて二つを理解する程度です」と答えると、孔子は「私も顔回には及ばないよ」と述べたということです。

[解説] ❶顔回は、孔子にその才能を最も愛された弟子。子貢にライバル意識がなかったはずはありませんが、ここは謙遜して、大人の受け答えをしたのでしょう。孔子は孔子で、自分も顔回には及ばないと告白することで、子貢をなぐさめているのかもしれません。❷理解力がすぐれている場合はもちろん、応用力に秀でている場合にも用いることができるでしょう。

〔異形〕一を知って十を知る/一を聞いて十を悟る/一をもって十を知る。

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ことわざを知る辞典 「一を聞いて十を知る」の解説

一を聞いて十を知る

物事の一端を聞いただけで、その全体を理解できるほど聡明である。非常に賢くて理解がはやいことのたとえ。

[使用例] 一をきいて十を知る勉強に踏み出しましょう。一を聞いて十を知る、それも自由学園の皆がもっている大きなねがいの一つです[羽仁もと子*教育三十年|1950]

[解説] 「論語―公冶長」の「回や、一を聞きて十を知る。賜や、一を聞きて二を知る」によることば。「回」は孔子の弟子の顔回、「賜」は子貢のこと。

〔英語〕A word to the wise is enough.(賢者には一言で十分)

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