三陸鉄道[株](読み)さんりくてつどう

百科事典マイペディア 「三陸鉄道[株]」の意味・わかりやすい解説

三陸鉄道[株]【さんりくてつどう】

岩手県の海沿い,三陸海岸沿いを走る第三セクター鉄道。国鉄赤字ローカル線を引き継いだものとしては最初に開業へこぎつけた鉄道で,1984年営業開始。路線は,国鉄盛線を引き継いで延伸した南リアス線(盛〜釜石間36.6km)と,国鉄宮古線・久慈線を延伸して繋いだ北リアス線(宮古〜久慈間71.0km)に分かれて営業,前後のJR線も含めて三陸を縦断する1本のレールを形成する。出入りが激しく険しい地形が続く三陸沿岸では鉄道の開通悲願だったこともあり,開業後しばらくは好調な経営が続いた。各駅愛称を付したり,1989年に開催の横浜博覧会で用いられたレトロ車両を譲受(現在は退役)したり,沿線自治体とタイアップし仙台〜八戸を結ぶ長距離直通列車を運転して様々なイベントを企画するなど話題も豊富であったが,少子高齢化や沿線の人口減少などにより近年は赤字に転落。加えて,2011年の東日本大震災では各地で津波による鉄道施設への被害が多数発生,震災直後から部分的に運行を再開はしたものの,その後2014年の全面復旧まで3年もの期間を要した。高架橋線路もろとも津波で破壊された北リアス線島越駅は,復旧に際し駅舎を海とは反対側へ移設し,線路も防潮堤を兼ねた土盛り構造に改められている。全線での復旧直前には,テレビドラマの舞台となって知名度が上昇。また復旧に際してはクウェートから資金面で大きな支援が得られ,新しく投入された代替車両車内にもその旨が記されている。全線復旧後も,震災を学ぶことのできる企画列車やお座敷車両の運行は継続予定。南北両線を結んでいたJR山田線は運行再開のめどが立たず,地元ではこの区間三陸鉄道へ移管する案も含めて検討が続けられている。本社岩手県宮古市,車庫所在地盛・久慈。資本金3億円。
→関連項目岩泉線第三セクター

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世界大百科事典(旧版)内の三陸鉄道[株]の言及

【三陸海岸】より

…1896年三陸大津波の復興策として計画された三陸縦貫鉄道の建設は,地域住民の悲願であったが,大正末に一部開通した八戸線をはじめ,以後大船渡線,山田線などが建設されたものの建設は進まなかった。80年余を経た1984年に第三セクター〈三陸鉄道株式会社〉によって北リアス線(久慈~宮古間)と南リアス線(釜石~盛間)が開通し,JR山田線経由で久慈~盛間の直通運転もされている。これによって青森県八戸から宮城県河南町前谷地まで344kmが鉄道で結ばれた。…

※「三陸鉄道[株]」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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