不協和音(読み)フキョウワオン(その他表記)discord

翻訳|discord

デジタル大辞泉 「不協和音」の意味・読み・例文・類語

ふきょうわおん【不協和音】[曲名]

原題、〈ドイツDissonanzenモーツァルト弦楽四重奏曲第19番ハ長調通称。1785年作曲。「ハイドン四重奏曲」中の第6作。通称は第1楽章の冒頭で用いられる不協和音に由来する。

ふきょうわ‐おん〔フケフワ‐〕【不協和音】

同時に響く二つ以上の音が、協和融合しない状態にある和音。⇔協和音
不調和な関係のたとえ。「両国間に不協和音が生じる」
[補説]作品名別項。→不協和音

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精選版 日本国語大辞典 「不協和音」の意味・読み・例文・類語

ふきょうわ‐おんフケフワ‥【不協和音】

  1. 〘 名詞 〙 不協和音程をふくむ和音。一部違和感をのこし、不調和で不安定な感じを与える。近代音楽ではかえってその特性を生かす傾向がつよい。また、不調和な関係のたとえにもいう。⇔協和音。〔音楽字典(1909)〕
    1. [初出の実例]「唸り、呻き、咳払いが言語を絶する動物的不協和音となって」(出典:時のうごき 1947(1948)〈中野重治編〉奥羽旅日記)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「不協和音」の意味・わかりやすい解説

不協和音
ふきょうわおん
discord

音楽用語。17世紀以降の西洋音楽では、三つ以上の異なる高さの楽音を同時に鳴り響かせたものを和音cordとよぶが、その三つ以上の楽音に一つでも他の楽音と不協和音程の関係にある楽音があれば、その和音をさして不協和音あるいは不協和和音という。これに対して三つ以上の楽音がすべて協和音程の関係にあれば、それは協和音あるいは協和和音とよばれる。しかし、不協和音程を含む和音がかならずしも甚だしい不協和感を与えるとは限らず、たとえば、いわゆる属七の和音には短七度と減五度といった二つの不協和音程が含まれているが、主和音に向かう推進力が感じられ、見方によっては調和的ともいえる。

[黒坂俊昭]

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百科事典マイペディア 「不協和音」の意味・わかりやすい解説

不協和音【ふきょうわおん】

協和しない音程あるいは和音。一般に,長2度,短2度,長7度,短7度など。協和音の対。理論では完全協和音とされる完全4度が実際の耳には不快とされる例などもあり,厳密な定義は確立できない。
→関連項目和音

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デジタル大辞泉プラス 「不協和音」の解説

不協和音

オーストリアの作曲家W・A・モーツァルトの弦楽四重奏曲第19番K465(1785)。原題《Dissonanzen》。『ハイドン四重奏曲』全6曲中の最終曲。名称は第1楽章の大胆な和声による序奏に由来する。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「不協和音」の意味・わかりやすい解説

不協和音
ふきょうわおん
dissonance

音楽用語。同時に響く2つ以上の音が,協和しない音程関係をもつもの。協和音に対する。

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音楽用語ダス 「不協和音」の解説

不協和音 [dissonance]

協和音の対語で、心理的に不安定感を与える響きを持つ和音に対して使われる。不協和音程を含む和音。

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世界大百科事典(旧版)内の不協和音の言及

【協和音】より

…複数の楽音が同時に鳴らされたとき,それらが互いに溶け合ってよく調和する状態を協和といい,その音程関係を協和音程,協和する和音のことを協和音,協和しない和音を不協和音という。協和の程度は,2音間の振動数比が単純なものほど高いと考えられる。…

【和音】より

…図1が示すように,これらは長短の3度音程(音程)の組合せ方によっており,この異なった3音を3度音程で積み重ねたものを総称して3和音という。また,長3和音と短3和音の2種のみを協和和音といい,他のすべての和音を不協和音という。なお主要3和音(主和音(トニカ),属和音(ドミナント),下属和音(サブドミナント))などの名は,和音の構造(種類)名ではなく,和声法における機能上の名称である。…

※「不協和音」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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