昭和20年代から30年代前半にかけての時期には,労働市場は著しい労働力の過剰状態にあった。これは,戦時中の生産設備の破壊がきわめて著しく,戦争の終結とともにそこに大量の労働力が海外からも国内からも職を求めて殺到したので,労働力の需給は極端な供給超過の状態になり,経済復興の進展にもかかわらず初期に滞積した労働力の超過供給の山が容易に取り崩しえなかったからである。それにもかかわらず,失業の総数はほとんど信じられないほど少なかった。これは,戦争で蓄えを失ってしまった人々は失業していられるほどの余裕もなく,日雇やかつぎ屋でもやりながら,なんとかその日その日の暮しを立てていかねばならなかったからである。そうした就業のもたらす収入は著しく低く,労働時間その他の就業条件もいたって劣悪なものであり,彼らはより有利な職はないかと血眼になっていた。こうした就業の状態を不完全就業(低所得就業)もしくは偽装失業(潜在失業)と呼ぶ。当時,一部では不完全就業者数1000万人との算定も行われたが,不完全就業の解明を目的とした統計調査(総務庁統計局の〈就業構造基本調査〉など)が整備されてくるにつれて,このような大量な不完全就業のなかでも,ただちに他の職業に移ることのできる,それゆえに雇用政策の当面の目標となりうる転用可能労働力は200万人程度であろうと見積もられるようになった。
→失業
執筆者:梅村 又次
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
1日の就業時間、一定期間の就業日数、賃金や所得が標準以下の水準にあるため、追加就業や転職を希望しているような就業状態をいう。
[編集部]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…これも実態としてみれば,彼の技能や知識に相応するだけの待遇や労働条件が保証されない低位の雇用であるから,失業ともみなされうるが,現実の統計処理では,やはり依然として就業者として分類される。ただし,このような,個人の知識・技能に相応する雇用を得ていない就業(彼の潜在的な限界生産力を十分に発揮しきっていない就業)を偽装失業,あるいはより広く不完全就業と呼ぶのが普通である。 また非労働力人口のなかにも,潜在的な失業者が存在していることがある。…
…仕事に就く意思と能力をもち,実際に仕事を探していながら,就業できずにいる人口。失業には,非自発的失業,自発的失業,摩擦的失業などがあるが,こうした完全失業のほかに,偽装失業,潜在失業などと呼ばれる不完全就業もある。 失業の定義そのものはこのように比較的明りょうであるが,その実態を統計的に把握しようとするとさまざまな問題が生じ,国によって微妙な差が生じている。…
※「不完全就業」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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