丞相(読み)ジョウショウ

デジタル大辞泉 「丞相」の意味・読み・例文・類語

じょう‐しょう〔‐シヤウ〕【×丞相】

《「丞」も「相」もともに助ける意。古くは「しょうじょう」》
古代中国で、天子をたすけて国務を執った大臣戦国時代から設けられた。宰相
大臣唐名

しょう‐じょう〔‐ジヤウ〕【×丞相】

じょうしょう(丞相)

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精選版 日本国語大辞典 「丞相」の意味・読み・例文・類語

じょう‐しょう‥シャウ【丞相】

  1. [ 1 ] ( 古くは「しょうじょう」。「丞」「相」はともにたすける意 )
    1. 古く中国で、天子を助けて国政をつかさどった最高の官。大臣。宰相。
      1. [初出の実例]「漢帝興言窮精微於丞相」(出典:経国集(827)二〇・道守宮継対策文)
      2. 「日本の御所は将軍として丞相を兼ねられたぞ」(出典:史記抄(1477)八)
      3. [その他の文献]〔史記‐秦本紀〕
    2. 大臣の唐名。
      1. [初出の実例]「除目明朝丞相家、無人無馬復無車」(出典:菅家文草(900頃)二・春日過丞相家門)
      2. 「中納言、大納言に経あがって、剰へ烝相(セウジャウ)の位にいたり」(出典:高野本平家(13C前)一)
  2. [ 2 ] ( 「菅丞相(かんじょうしょう)」と呼ばれたところから ) 菅原道真(すがわらみちざね)のこと。
    1. [初出の実例]「丞相の御詩に鳥の方を鶴を被作事もあり」(出典:袋草紙(1157‐59頃)下)

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改訂新版 世界大百科事典 「丞相」の意味・わかりやすい解説

丞相 (しょうじょう)
chéng xiàng

旧中国において天子を補佐する最高の大臣を宰相と言うが,歴代その名称を異にする。丞相(〈じょうしょう〉とも読む)はその一つで,秦・漢に始まり,六朝を通じて,おおむね丞相が宰相の名であった。もし2人なる時は,左丞相が上で右丞相を下とする。唐になって三省の長官,中書令,門下侍中,尚書左右僕射を宰相とし,丞相を置かない。のち三省を合わせて同平章事を設けて,宰相の事をつかさどらせ,これが北宋中期に及んだ。神宗の時,改めて左右僕射をもって宰相とし,南宋に入ってこれを左右丞相と改めた。元も丞相を置いたが,北方の風俗に従い,右丞相を左丞相の上に置いた。明も初めは丞相を置いたが,太祖が1380年(洪武13)左丞相胡惟庸(こいよう)を謀反嫌疑で殺してから丞相を置かず,みずから直接六部を指揮した。以後丞相の名が消え,代わって天子の秘書官なる内閣大学士,あるいは清代の軍機処大臣が実質上の宰相の職を行った。史上に最も有名な丞相は三国蜀漢の諸葛亮(孔明),および南宋末の文天祥の2人であろう。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「丞相」の意味・わかりやすい解説

丞相
じょうしょう

中国前近代、天子を補佐して宰相の任にあたる高官名。春秋戦国時代にこの種の官はあったが、制度が成立したのは秦(しん)代であり、始皇帝は左・右丞相を置き、その上に相国(しょうこく)を置くこともあった。漢はこれを受け、ときとして相国、または(大)司徒と改称したこともあったが、1人ないしは2人の丞相を置いた。唐代では三省の制が完備したためとくに置かれず、南宋(なんそう)の時代に復活したが、明(みん)代の初めにふたたび廃止された。

尾形 勇]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「丞相」の意味・わかりやすい解説

丞相
じょうしょう
cheng-xiang; ch`êng-hsiang

中国の官制。天子を補佐し,天下政務をとる高官。戦国時代の秦の武王が武王2 (前 309) 年に設けたのに始り,魏,燕などもおいた。始皇帝は国政を担当させ,相国 (しょうこく) と尊称した。漢代にもおかれ,後漢では一時廃止され,三国時代に復活。唐にはなく,南宋では左右の2相がおかれ,明初まであったが以後廃止。その権限は時代により多少異なっている。

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普及版 字通 「丞相」の読み・字形・画数・意味

【丞相】じようしよう(しやう)

執政。〔史記、秦紀〕(武王)二年、初めて丞相を置く。樗里疾(ちよりしつ)・甘(かんぼう)、左右の丞相と爲る。

字通「丞」の項目を見る

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百科事典マイペディア 「丞相」の意味・わかりやすい解説

丞相【しょうじょう】

中国の官名。〈じょうしょう〉とも読む。戦国時代,秦の武王のとき初めて左右丞相が置かれた(前309年)。漢は1丞相制をとり,魏晋以後は非常時に臨時に置かれ,南宋・元に及んだ。君主をたすけて一切の政務を処理する。明では1380年に胡惟庸(こいよう)の反逆事件が起こってからこの官を廃した。尊称は相国。

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旺文社世界史事典 三訂版 「丞相」の解説

丞相
じょうしょう

中国の最高位の官名
君主を補佐し,補導教訓もできるとされた。春秋・戦国時代から置かれたが,制度として成立したのは秦の時代。君主の専制権力が確立する隋・唐・宋には置かれなかった。南宋時代に復活したが,明では1380年左丞相胡惟庸 (こいよう) の反逆事件で廃止された。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「丞相」の解説

丞相(じょうしょう)

中国の官名。君主を補佐し政務を処理する官。戦国時代に楚(そ)以外の国に設けられた。秦では前309年以来,左右2丞相制をとった。漢はほぼ1丞相制。以後は非常の際に置かれた。宰相はその一般的名称。

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世界大百科事典(旧版)内の丞相の言及

【人形浄瑠璃】より

…女の首は,老年に〈婆(ばば)〉をはじめ3種,中年に〈老女形(ふけおやま)〉をはじめ4種,若い女性には〈娘〉をはじめ7種,あわせて14種がある。このほか,〈景清〉〈丞相(しようじよう)〉などの,一役一首で他に流用されることがほとんどない特殊な首が6種,これに新作ものの首を加えると24種になる。 立役首には,悲劇の主役に使われる〈文七〉,悪公家の〈口開文七(くちあきぶんしち)〉をはじめ時代物の荒物に使われる〈大団七(おおだんしち)〉,ならず者の〈小団七〉,武将から町人まで広く使われる〈検非違使(けんびし)〉,二枚目の〈源太〉などがある。…

【宰相】より

…秦・漢以後は官僚制度の上で最高責任者を意味する。秦・漢時代は中央政府最高官として丞相,太尉,御史大夫が置かれ,軍事をつかさどる太尉(一時大司馬という),監察官の御史を統率する御史大夫(のち大司空という)に対し,皇帝を輔佐し政務を総攬し百官を統率する丞相がまさに宰相に相当していた。前漢末に丞相・大司馬・大司空の3官が宰相職を三分したときにいわゆる三公制が行われたことになる。…

※「丞相」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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