中枢院(読み)ちゅうすういん

精選版 日本国語大辞典 「中枢院」の意味・読み・例文・類語

ちゅうすう‐いん‥ヰン【中枢院】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 朝鮮李朝の役所出納宿衛軍機をつかさどった。高麗旧制を襲用したもの。
  3. もと朝鮮総督府の諮詢(しじゅん)に応じた合議制機関日本枢密院に当たるもの。
    1. [初出の実例]「朝鮮総督府中枢院は朝鮮総督に隷し、朝鮮総督の諮詢に応する所とす」(出典:朝鮮総督府中枢院官制(明治四三年)(1910)一条(法令全書))

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改訂新版 世界大百科事典 「中枢院」の意味・わかりやすい解説

中枢院 (ちゅうすういん)

朝鮮の高麗,李朝,日本の植民地時代に設置された官庁名。高麗初期の991年,宋の枢密院にならい創設され,宿衛,軍機などをつかさどり,のち密直司と改称された。李朝初期には政令出納,軍政警備などをつかさどり軍参謀部の役割をも果たした。のちしだいに権力を移譲し,無任の堂上官の待命する府となった。大韓帝国では1904年議政府所属の内閣諮問機関として復活,日本統治期には朝鮮総督の諮問機関として,要人参議に任じた。15年以後は旧慣・制度の調査を行い,《経国大典》等貴重な出版活動も行った。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「中枢院」の意味・わかりやすい解説

中枢院
ちゅうすういん
Chung-ch'uwǒn

朝鮮,高麗~朝鮮王朝 (李朝) ,植民地時代の官庁。高麗の成宗 10 (991) 年に創設され,忠烈王以降に密直司と改称,王命の出納と軍の機務を司った国家の枢要機関であった。朝鮮王朝の初め,辛昌4 (1392) 年の官制では中枢院が政権と兵権とをあわせ握る最高官職であった。しかしやがて兵権は義興三軍府に移り,定宗2 (1400) 年には承政院に政権が移って,中枢院は消滅した。太宗9 (09) 年には再び中枢院の名称が復活し,世祖 12 (67) 年に中枢府と改め,実務をもたない文武堂上官を優待する機関として存続した。高宗 31 (1894) 年に中枢院と再び改称し,議政府の付属官庁となった。 1910年以降中枢院は政治機関ではなく,総督府の諮問機関として,おもに旧慣習,制度の調査を行い,各種の歴史資料を刊行した。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「中枢院」の解説

中枢院(ちゅうすういん)

朝鮮の官制。高麗(こうらい)で991年宋の枢密院にならって設置。朝鮮王朝でさらに発展し,軍政,警備などを掌握した。韓国併合後は朝鮮総督の諮問機関となる。

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世界大百科事典(旧版)内の中枢院の言及

【高麗】より

…一方,中央地方の行政機構も整備された。中央には政務を総轄する三省(中書・門下・尚書),実務を担当する六部(吏・兵・戸・刑・礼・工),王命や軍機をつかさどる中枢院などの官庁がおかれた。地方には重要地点に京や都護府,軍事の要衝に鎮をおき,また全国に約500の郡県と多数の部曲,郷,所,津,駅などをおいた。…

※「中枢院」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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