改訂新版 世界大百科事典 「中泊」の意味・わかりやすい解説
中泊[町] (なかどまり)
青森県北西部,北津軽郡の町。2005年3月中里(なかさと)町と小泊(こどまり)村が合体して成立した。旧市浦(しうら)村(現,五所川原市)を間に挟んだ飛び地合併である。人口1万2743(2010)。
小泊
中泊町北部の旧村。北津軽郡所属。人口4238(2000)。津軽半島北西端に位置し,半島の脊梁をなす津軽山地が海岸まで迫る。平地は小泊川下流のわずかな地域に限られ,大部分は国有林を主とする山林からなる。日本海に突出した小泊半島の基部に小泊,下前などの集落がある。中心の小泊は近世は松前への航路や西廻航路の風待ち港で,正保年間(1644-48)に集落が形成されたといわれる。1922年に小泊漁港が築港され,51年には避難港に指定され整備がすすめられた。イカ漁を中心とした漁業を基幹産業とするが,漁業の不振から出稼者が増加している。海岸一帯は津軽国定公園に指定され,小泊岬(権現崎)の高さ200mにも及ぶ断崖はみごとである。
中里
中泊町南部の旧町。北津軽郡所属。人口1万1087(2000)。津軽半島中央部に位置し,西部は津軽平野北端にあたり,十三湖に注ぐ岩木川東岸の三角州を含む。東部は半島の脊梁をなす津軽山地の西斜面である。平野の大半はヨシの茂る沼沢を江戸時代初期から開拓したもので,腰切田,乳切田などと呼ばれる湿田であった。1918年に岩木川改修事業が始められ,48-69年には国営十三湖干拓事業が行われて乾田化がすすんだ。しかし津軽山地から流れる今泉川の谷を吹き抜ける〈やませ〉の影響を受け冷害が起こりやすい。米作,林業のほか,近年は畜産やタバコ栽培に力を入れているが出稼ぎも多い。中心の中里は1930年に開通した津軽鉄道の終点にあたる。
執筆者:佐藤 裕治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報