中瀬村(読み)なかぜむら

日本歴史地名大系 「中瀬村」の解説

中瀬村
なかぜむら

[現在地名]深谷市中瀬

利根川右岸の自然堤防上に位置し、東は高島たかしま村、西は伊勢島いせじま村および上野国新田につた平塚ひらづか(現群馬県境町)、南は新戒しんがい村・下手計しもてばか村、北は利根川を挟んで平塚村および上野国新田郡大館おおたち(現群馬県尾島町)。深谷領に所属(風土記稿)。同書に当村の小名として小角こすみがみえることから、中世の上野国新田庄内小角郷に比定される。戦国期には中瀬郷とみえ、天正一二年(一五八四)二月一三日の北条家印判状写(西田文書)によると、小田原北条氏は逃散した百姓の還住を「中瀬郷百姓中」に命じている。同一九年八月の二冊の検地帳写(三崎家文書)は後年に表装された別紙の表紙をもつが、一方に「中瀬方御水帳」、他方に「中瀬村大縄外河代水帳」とある。


中瀬村
なかぜむら

[現在地名]保原町 中瀬町・清水町しみずまち八幡町やわたまち豊町ゆたかまち・中瀬

小幡おばた村・下保原村大立目おおだつめ村の北、阿武隈川右岸に位置。平坦地ではあるが、水田は少ない。中瀬河岸が置かれた。古くは阿武隈川左岸に位置し、伊達崎だんざき(現桑折町)のうちであったといい(信達二郡村誌)、阿武隈川の流路変更により分村したものか。延宝六年(一六七八)の分村成立ともいわれる。同九年の信夫・伊達郡村々高揃(保原町史)に村名がみえ、高二八七石余。


中瀬村
なかぜむら

[現在地名]浜北市中瀬

豊田とよだ郡に所属。永島ながしま村の北、天竜川の右岸に位置する。遠江円通えんつう(現掛川市)の禅僧松堂高盛が、戦火によって内院が焼失した後の明応三年(一四九四)九月八日に中瀬郷の正禅寺に一泊している(円通松堂禅師語録)。江戸時代の支配領主の変遷は中条なかじよう村に同じ。松平忠頼領郷村帳では高四三石余、畑一〇町九反余、うち川成九石余、ほか同所見取二石余。正保郷帳では畑方四八石余。延宝五年(一六七七)の浜松町村家数高間尺帳では同高、家数五八(うち役家三一)元禄郷帳では高四五一石余。享保四年(一七一九)の国領組諸色覚帳(岡部家文書)によれば高六四七石余、家数一九三(うち水呑五九)・人数一千三五六、馬五五、百姓林二二〇ヵ所、酒屋一。


中瀬村
なかぜむら

倉中瀬くらなかぜ村・末島すえとう村の東、天竜川の中洲状の地に位置した。豊田郡に属する。慶長七年(一六〇二)伊奈忠次が中瀬村百姓に宛てた荒地開発定書(稲垣家文書)によれば、洪水に見舞われた中瀬村の百姓が対岸の匂坂中之郷さぎさかなかのごう(現豊田町)に九三石分の土地を与えられて開作することになり、同時に旧耕地の復旧も命じられた。豊田郡には中瀬村が二村あるが、この定書は当村宛と考えられる。


中瀬村
なかのせむら

[現在地名]山田村中瀬

山田川右岸、白井谷しろいだに村の東方に位置する。集落は山田川に沿って上・下に分れており、上流のほうの上中瀬は苦草にがくさともよばれ、富山藩領勢図(富山市立郷土博物館蔵)には、「中瀬ノ内苦艸」とある。正保郷帳に中ノ瀬村とみえ、高一九二石余、田方三町四反余・畑方九町三反余。寛政二年(一七九〇)の高物成品々手鏡では古高三〇〇石余・定免四ツ七歩五厘、新田高二三石余・平均免二ツ三歩六厘余、定小物成は山役銀九〇匁・蝋役銀八匁余。ほかに山田川簗漁の川役銀五匁余を納めていた(若林家文書)


中瀬村
なかぜむら

[現在地名]寒川町中瀬

大曲おおまがり村の北、一之宮いちのみや村の東にある。大山道・中原なかはら道が掛かる。一之宮村田端たばた村・大曲村の間に南北に飛地がある。正保国絵図に村名がみえる。慶長二年(一五九七)より旗本春田領。天保一四年(一八四三)の農間商人名前取調書上控帳(県史八)によれば農間商人が三人おり、荒物・升酒・穀物買出し・刻たは粉売などであった。文政三年(一八二〇)には藤沢宿加助郷(「藤沢宿および立場書上帳」藤沢市史二)、嘉永三年(一八五〇)には代助郷高五〇石(「東海道藤沢宿助郷帳」同書)、慶応四年(一八六八)戊辰戦争での新政府軍の通行に際して増助郷高一六二石が課せられた(「助郷村高取調書上」茅ヶ崎市史)


中瀬村
なかぜむら

[現在地名]河芸町中瀬

中別保なかべつぽ一色いつしきの西にあり、伊勢参宮街道に沿って集落が形成されている。文禄検地帳(徳川林政史蔵)では「安芸郡千王名」の中に含んで記載されている。江戸時代は和歌山藩白子領七二・九六石、津藩二二・三六二石(「慶安郷帳」明大刑博蔵)の相給村であった。寛延(一七四八―五一)頃の「宗国史」には、津藩領の戸数一二、人口五〇、牛二を載せ、文化三年(一八〇六)の大指出帳(津市田中繁三氏蔵)には、家数三〇、人数(八歳以上)一一九、馬二、寺社は松林しようりん寺と宇佐八幡を記す。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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