令外官
りょうげのかん
古代、令の規定にない官職、官司(かんし)をいう。元来、令制官職の不備を補うため、必要に応じてそのつど臨時に置かれたもので、したがって所期の目的を果たしたのち廃止されたものも少なくないが、なかには常置の官のようになったものもある。厳密にいえば、令外官には、官位相当を定めた「官」と、相当位階のない「職(しき)」とがあるが、一般には前者の「除目官(じもくのかん)」と、後者の「宣旨職(せんじのしき)」または「宣下職(せんげのしき)」とをあわせて令外官とよんでいる。よく知られたものに、内大臣、中納言(ちゅうなごん)、参議、勘解由使(かげゆし)、按察使(あぜち)、征夷(せいい)大将軍、造寺司、修理職(しゅりしき)、検非違使(けびいし)、蔵人(くろうど)、摂政(せっしょう)、関白などがある。平安時代には検非違使庁と蔵人所(どころ)の活躍が顕著である。
[渡辺直彦]
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令外官
りょうげのかん
律令制下,令に規定されていない新しい官職
平安初期に設置された蔵人 (くろうど) ・検非違使 (けびいし) は有名であるが,そのほか奈良時代の中納言・参議,平安時代の勘解由使 (かげゆし) ・按察使 (あぜち) ・内大臣・摂政 (せつしよう) ・関白などがある。実際政治の必要上から新設されたものであるが,のちには令制官職が実権を失うほど,重要な意味をもつようになった。
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世界大百科事典内の令外官の言及
【唐】より
…中国,隋に続く統一王朝。618‐907年。首都は長安(陝西省西安市)で副都が洛陽(河南省洛陽市)。王室の李氏が北周王室の宇文氏,隋王室の楊氏とともに,北魏が北辺に配置した6軍団の一つである武川鎮軍閥の出身であるという共通点をもっていたこともあり,唐の政治と制度には北周と隋のそれらを継承するものが多い。唐朝の国号は,李淵の祖父李虎が漢の太原郡にあたる唐国公の封爵を北周より受け,また李淵が隋より唐王に進封されたことに由来するという。…
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