日本大百科全書(ニッポニカ) 「久井」の意味・わかりやすい解説
久井
くい
広島県東部、御調郡(みつぎぐん)にあった旧町名(久井町(ちょう))。現在は三原市(みはらし)の一地区。1954年(昭和29)久井、羽和泉(はいずみ)、坂井原の3村が合併して町制施行。2005年(平成17)三原市に合併。国道486号が通じ、南端を山陽自動車道が通過、近くに三原久井インターチェンジがある。三原市の中心市街地からバスで40分。吉備(きび)高原の一部世羅(せら)台地南縁に位置し、農業が主であるが、水利が悪く、1000以上の溜池(ためいけ)がみられる。2004年には農業専用ダムの県営三河(みごう)ダムが完工した。西日本有数の牛市で知られたが、昭和30年代になくなり、跡地が県史跡として残る。工業は家内工業的なものが多いが、1994年には久井工業団地が造成され、企業誘致が進められている。宇根山麓(うねさんろく)の谷には「ごうろ」とよばれる巨岩の累積する久井の岩海(がんかい)(国指定天然記念物)がある。また、宇根山天文台、宇根山家族旅行村がある。10月19日に近い日曜日に行われる久井稲生神社(いなりじんじゃ)の御当座祭は、宮座による「御神酒献備(ごしんしゅけんび)の古式(こしき)」で国の選択無形民俗文化財。久井歴史民俗資料館がある。
[北川建次]
『『久井町誌』(1997・久井町)』