能の分類名。修羅は阿修羅の略。世阿弥の伝書に〈修羅・闘諍(とうじよう)〉と熟して用いられているように,もと仏法守護の内道(たとえば凡天,帝釈天等)と仏法障礙(しようげ)の外道(げどう)との争いを描くに発する。鎌倉時代の代表的寺社芸能〈延年〉に原型とみられるものがあり,現行能の《舎利》《第六天》《大会(だいえ)》などは,それに比較的忠実な末流ということができる。世阿弥の執心物,ことに,鬼畜物ではあるが《鵺(ぬえ)》あたりに人間修羅の出現する兆しがあり,直接には,井阿弥(いあみ)の原作を世阿弥が改作した《通盛(みちもり)》に,武者がその執心ゆえに修羅道に落ちて苦しむというパターンが始まる。世阿弥のいう〈修羅〉は,古態の修羅と人間修羅とがやや不統一に概念づけられており,《風姿花伝》〈修羅〉にいう〈よくすれども,面白き所稀(まれ)なり〉とは前者,〈但し,源平などの名のある人の事を,花鳥風月に作り寄せて〉とは後者である。物まね芸の基本的三体(老女軍)の軍体とは武者姿のことで,世阿弥の《三道》などでは,《平家物語》を骨子に,軍体を修羅能にしたてることを説いている。およそ,シテが面は平太,装束は厚板・半切・法被で出で立ち,ツヨ吟のクセをもつ《八島》《箙(えびら)》《兼平》等の系列と,面は今若・中将,装束は縫箔(ぬいはく)・大口・長絹で,ヨワ吟のクセを持つ《清経》《敦盛》《経正》等の系列がある。《実盛》《頼政》は老体の,《巴》は女体の特殊な修羅物である。
→二番目物
執筆者:味方 健
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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