(読み)アサ

  • hemp
  • ▽麻
  • ▽麻/×苧
  • お〔を〕
  • 漢字項目
  • 麻 (アサ・マ)

デジタル大辞泉の解説

クワ科の一年草。高さ1~2.5メートル。茎はまっすぐに伸び、葉は手のひら状の複葉で対生。雌雄異株。夏、黄緑色の小花を穂状につけ、秋に実が熟す。中央アジアの原産で、熱帯から温帯にかけて栽培され、茎の皮から繊維をとり、麻糸にする。種子からは油をとる。大麻(たいま)。大麻草(たいまそう)。あおそ。 夏》「ゆり出だす緑の波や―の風/惟然
茎の靭皮(じんぴ)から繊維をとる麻・亜麻苧麻(ちょま)黄麻(こうま)や、葉から繊維をとるマニラ麻サイザル麻などの総称。また、それらから製した繊維や織物
《「」と同源か》
の古名。〈和名抄
麻または苧(からむし)の繊維から作った糸。
「―を縒(よ)りて」〈土佐
あさ。多く、他の語と複合して用いる。「山」「菅(すが)
「娘子らが続麻(うみを)のたたり打ち―掛けうむ時なしに恋ひ渡るかも」〈・二九九〇〉
常用漢字] [音](慣) [訓]あさ お
〈マ〉
草の名。アサ。「麻紙麻布大麻白麻・快刀乱麻」
アサに似た草の名を表す語。「亜麻黄麻(おうま)胡麻(ごま)蕁麻(じんま)苧麻(ちょま)蓖麻(ひま)
しびれる。「麻酔麻痺(まひ)麻薬鈍麻
[補説]3は「痲(ま)」と通用する。
〈あさ〉「麻糸麻縄麻布・麻袋」
[名のり]ぬさ
[難読]𦯶麻(いちび)蕁麻(いらくさ)麻幹(おがら)苧麻(からむし)綱麻(つなそ)麻疹(はしか)麻雀(マージャン)麻婆豆腐(マーボどうふ)真麻(まお)

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

大辞林 第三版の解説

クワ科の一年草。中央アジア原産。渡来は古く、古代から重要な繊維植物として栽培されてきた。茎は直立し、1~3メートルになる。葉は三~九枚の小葉からなる掌状複葉で、各小葉は披針形で縁に鋸歯きよしがある。雌雄異株。初夏、淡緑黄色の雄穂、緑色の雌穂をつける。雌株からは麻薬がとれる。茎の靭皮じんぴを繊維として利用する。皮をはいだ残りは「おがら」と呼ばれる。種子(麻の実)からは油をとり、また鳥の飼料などにする。大麻たいま[季] 夏。
に似た長い繊維を持つ植物。アマ(亜麻)・チョマ(苧麻)・コウマ(黄麻・ジュート)・マニラ麻・サイザル麻など。
大麻・苧麻・亜麻・ジュートなどからとる繊維。またその繊維で製した糸・布など。大麻・苧麻など靭皮繊維からとるものとマニラ麻・サイザル麻など葉脈繊維からとるものがある。強靭で用途は広く、衣料・綱・網・梱こうり包布などとする。
[句項目] 麻の如し 麻の中の蓬
あさ。複合語として用いることが多い。 -木綿ゆう 真-むら 打ち-

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙
① クワ科の一年草。中央アジアの原産と考えられるが、日本への渡来も古く、古代より、重要な繊維原植物として栽培されている。高さ一~三メートル。茎は四角柱で細毛がつく。葉は掌状に三~九裂し、各片は細長く、先がとがり、縁には鋸歯(きょし)がある。雌雄異株で、夏、淡黄緑色の雄花と、緑色の雌花が咲く。実は「おのみ」と呼ばれ、灰色の卵円形で食用となるほか油をとる。インド産のものは麻酔性物質を多く含む。茎の皮から繊維をとり、布や糸、綱などとする。古代、麻でつくった衣服は喪服として用いた。また、皮をはいだ残りの茎は「おがら」と呼ばれ、懐炉灰の原料、わら屋根の下ぶきなどのほか、お盆の「迎え火、送り火」としてたくのに用いる。大麻。→苧(お)麻(そ)。《季・夏》
※万葉(8C後)九・一八〇〇「小垣内(をかきつ)の 麻(あさ)を引き干(ほ)し 妹(いも)なねが 作り着せけむ 白栲(しろたへ)の 紐をも解かず」
※太平記(14C後)二「身を隠さんとて日を暮らし、麻(アサ)や蓬(よもぎ)の生ひ茂りたる中に隠れ居たれば」
② 大麻のほか、亜麻、苧麻(ちょま)、黄麻(こうま)、マニラ麻、ニュージーランド麻などの植物からとれる強靱な有用繊維の多くの種類をさす総称的な呼び名。また、それらの原植物の名。
③ 麻糸で織った布類およびそれで作った衣類の総称。→あさ(麻)の衣(きぬ・ころも)
※方丈記(1212)「藤の衣、あさのふすま、得るにしたがひて肌(はだへ)を隠し」
※随筆・幕朝故事談(1789‐1801か)「御門番大名、御規式御成の節御成還御共麻にてつとめる也」
〘名〙 あさ。「あかそ(赤麻)」「かみそ(紙麻)」「すがそ(菅麻)」「まそ(真麻)」「やまそ(山麻)」などと複合して用いることが多い。
※万葉(8C後)二・一五七「三輪山の山辺真蘇(ソ)木綿(ゆふ)短か木綿かくのみからに長くと思ひき」
[補注]上代から「あさ」「お(を)」の語もあり、この「そ」との間の関係は明確ではない。
〘名〙
① 植物の麻(あさ)。〔日葡辞書(1603‐04)〕 〔荀子‐勧学〕
② 麻の皮。また、麻で作った糸・布・衣・帯。中国で喪服に用いた。〔礼記‐檀弓・下〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

化学辞典 第2版の解説

広義に麻とは,靱皮を利用する,大麻(hemp),亜麻(flax),ちょ麻(ラミー:ramie),ジュート(黄麻:jute)と,葉繊維を利用するマニラ麻,サイザル麻などの植物自体とその繊維の両者をいう.しかし,通常,繊維としての麻は大麻をさすことが多い.これはアサ科の1年生草本の靱皮繊維である.単繊維は長さ15~25 mm,幅16~50 μm 程度,色は暗褐色,漂白すると強度はいくぶん弱くなるが,綿,亜麻よりも強い.耐水性,耐食性が大きく,キャンバス,ホース,なわ,ロープに用いる.大麻繊維の形態上の特徴は,円筒状で先端がまるく,分岐することもあり,まるくない亜麻と区別できる.主成分はセルロースであり,分子量,結晶化度,配向度いずれも大きい.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

旺文社日本史事典 三訂版の解説

古代から広く利用された繊維植物
縄文時代の出土例があり,『魏志倭人伝にも記載がある。令制では布(麻布)は調の対象となる。大麻 (たいま) ・黄麻・亜麻・苧麻 (ちよま) があり,最も一般的な庶民の衣料原料として普及。織物としては,中世信濃(長野県)・越後(新潟県)で多く生産され,近世では,木綿におされたが,なお四木三草の一つにあげられ,奈良晒 (さらし) ・越後上布 (じようふ) ・近江蚊帳 (かや) などの名が高い。またさらした繊維を緒 (お) といい,魚網・などの原料ともなった。

出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報

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