井寺古墳(読み)いでらこふん

国指定史跡ガイドの解説

いでらこふん【井寺古墳】


熊本県上益城(かみましき)郡嘉島町井手にある古墳。熊本平野の東端、井寺集落の背後の丘陵南西斜面(標高約21m)に所在する。1921年(大正10)に5世紀の貴重な装飾古墳として国の史跡に指定。石室は西に向かって開口する横穴式石室で、奥行き2.94m、幅2.47m、天井までの高さ3.08m、その前に長さ1.08m、幅0.56mの羨門(せんもん)がある。石室は、阿蘇溶岩を煉瓦状に整えた切り石を積み上げ、天井石は内面を長楕円形に抉(えぐ)った巨石を用いている。石障の内壁とその上面、羨道(せんどう)の両側壁、入り口の両袖石、石梁(せきりょう)の表面などには直線の周囲をさまざまな弧線で囲み、赤・白・青・緑の4色で塗り分けられた文様が描かれているが、直弧文では最も優れたものといわれ、国の重要文化財にも指定されている。熊本市立博物館に鉄刀4本を保管。JR鹿児島本線ほか熊本駅の熊本交通センターから熊本バス「井寺」下車、徒歩約5分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

精選版 日本国語大辞典の解説

いでら‐こふん ゐでら‥【井寺古墳】

熊本県上益城郡嘉島町井寺にある古墳時代後期に属する円墳。安政四年(一八五七)発見。石室内に線刻と彩色の文様をもつ装飾古墳。

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世界大百科事典内の井寺古墳の言及

【装飾古墳】より

…これらと前後して,横穴式石室の内部に安置場所を囲んで方形に立てめぐらした石障その他に直弧文を彫刻したものが現れた(石室)。これにも熊本県長砂連(ながざれ)古墳のように,直弧文を浮彫したものと,熊本県井寺(いでら)古墳のように,直弧文を線刻したものとがある。後者には同心円の文様もまじえているが,熊本県千金甲(せごんこう)1号墳では,同心円と靫(ゆき)とを用い,千金甲3号墳では,石障ではなく,石屋形(いしやかた)(石室奥壁に接して組み立てられた安置施設)に同心円,靫,大刀(たち),舟などを線刻したものに変化している。…

※「井寺古墳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

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