井戸尻遺跡群(読み)いどじりいせきぐん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

井戸尻遺跡群
いどじりいせきぐん

長野県諏訪郡富士見町にある縄文時代中期を主とする遺跡。八ヶ岳南麓にあり,井戸尻を中心として曾利,大花,新道など 50あまりの遺跡群がある。調査された住居址は 200戸に及んで多数の土器,石器を出土した。土器については,中期土器の編年上重要な加曾利式の編年が行われた。また土偶も 20個体分ほど出土している。さらにパン状の炭化物が出たことも特徴的である。

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百科事典マイペディアの解説

井戸尻遺跡群【いどじりいせきぐん】

八ヶ岳南麓に広がる縄文時代中期の遺跡群。井戸尻・曾利(そり)・九兵衛尾根(きゅうべえおね)・藤内(とうない)など二十数ヵ所の遺跡が分布する。竪穴住居跡から多量に出土した土器群は,住居の重複関係をもとに編年が確立され,当期の中部・関東地方の基準となっている。また打製石斧や植物加工具を中心とする石器群の存在から,藤森栄一によって,中部山岳地帯に原始的な農耕が存在したとする〈縄文農耕論〉が提唱された。

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世界大百科事典 第2版の解説

いどじりいせきぐん【井戸尻遺跡群】

八ヶ岳南西麓,長野県諏訪郡富士見町のJR信濃境駅周辺にひろがる,縄文時代中期を主とした二十数遺跡からなる大遺跡群の総称。国指定史跡の井戸尻遺跡(中期中葉)をはじめ,九兵衛尾根遺跡(前期~中期),籠畑遺跡(中期初頭),新道(あらみち)遺跡・狢沢(むじなざわ)遺跡(中期前半),藤内(とうない)遺跡(中期中葉),曾利(そり)遺跡(中期後半)等がある。出土した土器群は〈井戸尻編年〉の標準資料とされる重要なもので,それによって中部地方の縄文時代中期の土器文化の時間的な前後関係を明らかにすることができた。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

井戸尻遺跡群
いどじりいせきぐん

長野県諏訪(すわ)郡富士見町、八ヶ岳(やつがたけ)南西麓(ろく)標高約900メートル前後の信濃境(しなのさかい)駅周辺に分布する縄文中期の集落遺跡群を総称する。厳密には井戸、曽利(そり)、井戸日向(ひなた)と新道(あらみち)、籠畑(かごはた)、九兵衛尾根(きゅうべえおね)、藤内(とうない)、狢沢(むじなざわ)の2群が近接して分布している。1949年(昭和24)より数次にわたる発掘調査が実施され、総計百数十軒の住居址(し)とともに各種遺物が多数検出された。とりわけ豪華絢爛(けんらん)たる膨大な中期土器群は、縄文土器中の最高級品と評価されている。なお住居址炉辺から検出されたパン状炭化物は、類品発見の糸口となり、縄文文化における植物質食糧のあり方研究に大きな役割を果たした。縄文文化最繁栄期の代表的遺跡群であるとともに、住居址の切り合い関係による土器編年法の開拓、実験考古学による土器や石器の使用法の復原的研究などは、「縄文中期農耕論」を基盤としているとはいえ、縄文時代研究に画期的な影響を与えたといえる。66年国の史跡に指定され、曽利遺跡に近接して井戸尻考古館が建設されている。[樋口昇一]

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