京釜(読み)キョウガマ

デジタル大辞泉 「京釜」の意味・読み・例文・類語

きょう‐がま〔キヤウ‐〕【京釜】

室町末期、京都三条釜座かまんざで作られた茶釜無文で滑らかな肌の優美なもの。

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精選版 日本国語大辞典 「京釜」の意味・読み・例文・類語

きょう‐がまキャウ‥【京釜】

  1. 〘 名詞 〙 京都産の茶湯釜。室町末期、三条にできた釜座で鋳造され始めた。一定の規格に合わせた無文の滑肌の優美な作柄で、焼抜き、羽落(はおち)技法が行なわれた。西村道仁名越善正辻与次郎に始まる。茶人の好み、注文、写しによって作られ、その他の個人の制作者が出現し、後には大西名越西村など釜師家系が栄えた。
    1. [初出の実例]「利休時代に、京師に住居せる与二郎なるもの釜の名人なり。子孫今は相続せず。これを京釜といふ。利休の気に入りて好み鋳させしが多しとなん」(出典:茶話(1804)上)

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百科事典マイペディア 「京釜」の意味・わかりやすい解説

京釜【きょうがま】

室町末期武野紹鴎(じょうおう)が住した京都三条に,茶釜工人が集まってできた三条釜座で製作された釜。織田信長豊臣秀吉の保護もあって桃山時代に栄え,大西家名越家西村家などが繁栄の基礎を築いた。以前の芦屋釜天明釜を折衷したもので,概して肌に作為が多く精巧優美な作が多い。おもな釜師に名越善正西村道仁辻与次郎らがある。→鋳物師

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「京釜」の意味・わかりやすい解説

京釜
きょうがま

安土桃山時代から江戸時代にかけて,京都三条釜座で鋳造された茶の湯釜総称織田信長豊臣秀吉の保護を受け,また茶の湯 (→茶道 ) の大宗匠との結びつきも緊密で,依頼主の好みに応じた釜を生産した。一般に地肌の美しい作品が多い。芦屋釜天明釜と違って鋳物師の家系が明瞭。初期の辻与次郎西村道仁以後は西村家と名越家が栄え,江戸時代以降は千家との関係で大西家が有力となり,今日まで続いている。

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改訂新版 世界大百科事典 「京釜」の意味・わかりやすい解説

京釜 (きょうがま)

室町時代末期から京都三条釜座において鋳造された茶の湯釜の総称。武野紹鷗,千利休による茶道の流行にともなって,芦屋,天命の古作ばかりでなく,茶人は好みの釜を注文するようになり,京作の釜の隆盛を促した。西村道仁,辻与次郎などの名人が出て天下一を号し,江戸時代には名越,大西,西村などの釜師諸家が代々栄えた。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「京釜」の意味・わかりやすい解説

京釜
きょうがま

室町時代末期から、京都三条釜座において製作された茶釜の総称。

[編集部]

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世界大百科事典(旧版)内の京釜の言及

【釜】より

… 産地としては,筑前芦屋と下野天明(てんみよう)が古くから知られる。芦屋釜は大内氏歴代の保護により栄えたが,大内氏が滅び京釜が隆盛をみるとしだいに衰退し,江戸時代初期には終滅した。芦屋の鋳物師には大江,太田,藤原などの家系がある。…

※「京釜」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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