京間(読み)キョウマ

デジタル大辞泉 「京間」の意味・読み・例文・類語

きょう‐ま〔キヤウ‐〕【京間】

近畿地方で主に行われた建築における柱間はしらま基準寸法柱間の6尺5寸(約1.97メートル)を1けんとする。大間おおま
日本住宅で、畳の大きさを6尺3寸(約1.90メートル)と3尺1寸5分(約0.95メートル)を基準とする造り方。→田舎間いなかま

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精選版 日本国語大辞典 「京間」の意味・読み・例文・類語

きょう‐まキャウ‥【京間】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 柱間(はしらま)寸法一つ。柱間を曲尺(かねじゃく)の六尺五寸(約一・九五メートル)に取り、これを一間(けん)とするもの。これを本間・大間ともいうが、別に四寸角の柱の中心から測り、二寸を減じて六尺三寸(約一・八九メートル)を一間とするものを中京間という。京都地方の住宅や寺社建築には普通に中京間が用いられた。→江戸間田舎間
    1. [初出の実例]「御閑所を、京間(きゃうマ)六帖敷になされ、畳を敷」(出典:甲陽軍鑑(17C初)品三三)
    2. 「江戸間であるから八畳が京間の六畳」(出典:細雪(1943‐48)〈谷崎潤一郎〉上)
  3. ( 田舎間などより広いところから、比喩的に用いて ) 普通より広いことにいう。
    1. [初出の実例]「そしてきさまは何畳敷だ。おれか。をれがのは、やっと八畳もあるかなし。そばから狐がかんがへて、その筈その筈。上(かみ)方のは京間(ケフマ)じゃものを」(出典:咄本・蝶夫婦(1777)狸のきんたま)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「京間」の意味・わかりやすい解説

京間
きょうま

建築用語。次の三つの意がある。(1)6尺5寸(約197センチメートル)の1間(けん)。(2)建物の平面を計画するとき、柱間(はしらま)の基準となる1間の長さを6尺5寸とする体系の(1))。(3)畳敷きの建物で、長辺6尺3寸(約191センチメートル)、短辺3尺1寸5分の寸法の畳を基準にして部屋の広さを決め、これを基に全体を計画する平面計画の体系(の(2))。

 京都における住宅建築の柱間は、室町時代には1間を7尺(約212センチメートル)にとるのが普通であったが、江戸時代に入るころには6尺5寸が一般的になった。住宅の敷地などを測る寸法も、京都では江戸時代の初めには6尺5寸の1間が用いられていた。一方、江戸においては6尺(約182センチメートル)の1間が使われていたので、これと区別して、京都における6尺5寸の1間を京間、江戸における6尺の1間を田舎間(いなかま)とよんだ(の(3))。

 室町時代から、住宅建築では方眼の上で平面を計画したことが確認でき、江戸時代に入ると、平面だけでなく、敷地全体に方眼を引いて建物の配置も計画するようになった。京都では、江戸時代を通して6尺5寸の京間を方眼の間隔とし、柱の心を方眼の交点や線にあわせて部屋や建物を計画する。したがって、たとえば8畳間の両端の柱の心々間隔は13尺となる。この京間による計画の体系は、京都に限らず主として武家や公家(くげ)などの上層の住宅に使われている。

 また、京都における寺院や町屋でも、畳が敷き詰められるようになり、江戸時代に入って長辺6尺3寸、短辺3尺1寸5分の畳を基準にして部屋の広さを計画するのが一般的になる。この場合には建物全体に方眼を引くのではなく、部屋ごとに畳を並べて広さを決め、部屋の外回りの線に柱の面をあわせて、柱の位置を決める方法がとられる。この方法では、方眼が建物全体を覆っていないので全体の計画が複雑になるが、畳や建具の寸法が規格化される利点が生まれる。また、建物を配置するときに、敷地を覆う方眼に建物が完全にのらないので、配置計画が複雑になる。この計画の体系は、寺院や民家だけでなく、草庵(そうあん)風の茶室数寄屋(すきや)風の書院にも使われ、しだいに武家や公家の住宅にも使われるようになる。また、柱の位置を内法(うちのり)寸法によって決めるというこの複雑な体系が基になって、きめの細かい設計手法が生まれ、江戸時代の大工技術が高度に発達した。

[平井 聖]


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改訂新版 世界大百科事典 「京間」の意味・わかりやすい解説

京間 (きょうま)

住宅建築において,基準寸法を1間=6.5尺(約1.97m)にするか,または畳の寸法を6.3尺×3.15尺(1.909m×0.954m)にしたもの。京都を中心にして,近畿地方,中国地方,四国地方,九州の一部など,西日本で使われる基準寸法。京間に対して,東日本で使われる1間=6尺(1.82m)の基準寸法を田舎間(いなかま)といい,名古屋地方で使われる6尺2寸,畳寸法6尺×3尺の基準尺を中京間(ちゆうきようま)とも呼ぶ。歴史的にみると日本の住宅の柱間は一定ではなく,奈良時代には10尺から7尺まで,いろいろな寸法が用いられていた。時代が下るにしたがって短くなり,京都周辺では桃山時代に6.5尺で統一されるようになったらしい。このような基準寸法への統一は,畳や建具などの互換性を確保するためと考えられ,このことが逆に柱や板などの建築材料や畳,建具などの規格化を生み出したものと考えられている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「京間」の意味・わかりやすい解説

京間
きょうま

大間ともいう。和風建築の間取りの方式の一つ。慶長年間にすでにこの京間が成立していたことが知られているが,実際にはそれよりいくらかさかのぼるものと思われる。柱間寸法を 6.5尺 (196.9cm) とするため,6尺 (182cm) を1間とする田舎間に比べて,畳の寸法が大きい。京間畳は長さ 6.3尺 (190.8cm) ,幅 3.15尺 (95.4cm) を基準畳とする。田舎間が関東,甲信越地方に多いのに対して,京間は京都を中心として奈良,大阪,瀬戸内,山陰地方,九州の一部の茶室,民家,書院その他で取扱われてきた。

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百科事典マイペディア 「京間」の意味・わかりやすい解説

京間【きょうま】

和風建築の間取方式の一つで6.3尺(約191cm)×3.15尺(約96cm)の京間畳を基準とした畳割で定められる。田舎間(いなかま)に対するもので,京都を中心に関西地方の住宅・寺社建築などに多い。畳の大きさが6尺×3尺のものを中京間(ちゅうきょうま)という。
→関連項目

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家とインテリアの用語がわかる辞典 「京間」の解説

きょうま【京間】

日本建築の基準寸法の一つ。柱と柱の間の長さを6尺5寸(約197cm)、畳の大きさを6尺3寸(約191cm)×3尺1寸5分(約96cm)とし、これを基準に設計・施工する。近畿(きんき)地方に多い。◇「関西間」ともいう。

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