伝習録(読み)デンシュウロク

デジタル大辞泉 「伝習録」の意味・読み・例文・類語

でんしゅうろく〔デンシフロク〕【伝習録】

中国代の王陽明語録。3巻(うち中巻は書簡集)。上巻は1518年刊。中・下巻死後の編。王陽明思想人間性を知る基本的な書物

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精選版 日本国語大辞典 「伝習録」の意味・読み・例文・類語

でんしゅうろくデンシフ‥【伝習録】

  1. 中国の儒家書。三巻。明の王陽明の言や手紙を、門人の徐愛・陸澄・薛侃が筆録したもの。心即理致良知知行合一の三綱領を中心陽明学大要がつくされている。慶長一五九六‐一六一五)頃日本に伝来

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「伝習録」の意味・わかりやすい解説

伝習録
でんしゅうろく

陽明学の祖、王陽明(守仁(しゅじん))の門人との問答および論学の書翰(しょかん)を集録した書。現行三巻。陽明思想の中核をよく表す。現行の形態になったのは、1572年(隆慶6)『王文成公全書』に収録されて以降である。上巻語録は徐愛(じょあい)ら門人による記録で、陽明47歳(1518)のとき、彼の親覧を経て出版されたもの。心即理、知行合一(ちこうごういつ)など、陽明41~47歳ごろの思想を伝える。中巻の書翰は南大吉(なんだいきつ)の編纂(へんさん)したものを銭徳洪(せんとくこう)が削除訂正を加え、自ら編纂した下巻語録とともに刊行したもの。それらが『王文成公全書』に収録される際に、三巻に配当されたのである。中・下巻は陽明死後に編纂されたもので、陽明の手は加わっていない。致良知(ちりょうち)などおもに晩年に確立された思想が展開されている。

[杉山寛行]

『溝口雄三訳『伝習録』(『世界の名著 続4 朱子/王陽明』所収・1974・中央公論社)』

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改訂新版 世界大百科事典 「伝習録」の意味・わかりやすい解説

伝習録 (でんしゅうろく)
Chuán xí lù

中国,明代の思想家,王守仁(陽明)の語録,書簡を編集したもの。1518年(正徳13)に薛侃(せつがん)が刊行したのが最初で,語録のみであった。今日流布しているのは銭徳洪編《王文成公全書》所収の3巻本である。王陽明,陽明学の思想を知るためには不可欠の重要な文献である。上巻は40歳代の語録,中巻は主に50歳代の書簡,下巻は主に50歳代の語録である。日本では,三輪執斎の《標註伝習録》が広く読まれ,陽明学の普及に大きな貢献を果たした。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「伝習録」の意味・わかりやすい解説

伝習録
でんしゅうろく
Chuan-xi-lu

中国,明の思想家王陽明の思想を伝える基本文献。上,中,下3巻。書名は『論語』学而編の「伝不習乎」による。門弟の徐愛,陸澄,薛侃 (せっかん) が集めた陽明の語を,正徳 13 (1518) 年,陽明 47歳のときに薛侃が刊行したが,これが現在の上巻にあたる。以後,いくつかの『伝習録』が刊行されたが,現在の3巻本は,嘉靖 35 (56) 年に銭徳洪がまとめたものである。この書は,のちに『王文成公全書』のなかに「語録」として入れられたが,一方では陽明の思想を知る最適の書として,独立しても流布し,日本でも種々の和刻本が出された。

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百科事典マイペディア 「伝習録」の意味・わかりやすい解説

伝習録【でんしゅうろく】

中国,明の王守仁(陽明)の語録,書簡集。門人徐愛の記録した14条をもとに以後増補,1556年に3巻の現行本(銭徳洪編)が完成。《論語》学而編の〈伝不習乎〉をとって書名とした。王守仁の知行合一,致良知の説を解明。日本には慶長ごろに伝来,陽明学の流行とともに翻刻された。
→関連項目三輪執斎

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