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知行合一 ちこうごういつZhi-xing-he-yi

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

知行合一
ちこうごういつ
Zhi-xing-he-yi

中国,王陽明が提唱した知識と行為に関する根本命題。朱子や陸象山らのいわゆる「知先行後」説に対するアンチテーゼ。たとえば「寒い」という知識が寒さの体験 (行) と不可分であるように,「知」はすべて「行」を通して成立する,もしくは「行」を通してしか「知」は成立しえないという論理。また,「心即理」説が道徳の領域に演繹されると,「行」が真の知 (良知) の実現としてのみ把握されるようになり,いわゆる当為としての知行合一説が提出される。それはやがて,のちの致良知説,事上磨錬の強調などにつながっていく。

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百科事典マイペディアの解説

知行合一【ちこうごういつ】

中国,明代の王守仁(陽明)の哲学,すなわち陽明学の基本的思想。知は良知,行は行為。実践論として解されることが多いが,主体の〈現在〉にあっては知と行の先後軽重を分別できないというのが真意

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世界大百科事典 第2版の解説

ちこうごういつ【知行合一 zhī xíng hé yī】

中国,明代の思想家,王守仁(陽明)の主張した実践論。王陽明は,人間を“現在”と理解する。つまり,人間が真に実在するのは“今”だけである。現実に存在する,すなわち現在するとは,分割不可能な一瞬の今にしか実在しないということである。知(認識)・行(実行)というも,朱子学以来の伝統的用法にのっとって,“現在”する人間の活動形態を仮にそのように分別し限定して表現しているにすぎない。知行を実践する主体の存在自体が分割不可能な時間の“今”にしか実在しないのだから,知・行という分相を主体(心という)に返して理解するなら,知・行の両者を先後軽重に分別することはできない。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

知行合一
ちこうごういつ

陽明(ようめい)学の命題の一つ。知ることと実行することとは本来二つには分けられない、とすること。王陽明(守仁(しゅじん))は、朱子学が真理の認識や道徳的是非の判断(知)を先にしてその実践(行)を後にする知先行後論に傾きがちであったことや、明(みん)代の俗学が実践を伴わない空論に流れたことを批判して、知行合一を主張した。そのため、知っているだけで実行しないのはまだ本当の知とはいえない、とし、実践のうえで知と行とが一致することを要請する実践重視・体験重視の立場(事上磨錬(じじょうまれん))をとっている。また王陽明のいう「行」の概念は幅が広く、人間の心の働き、たとえば好悪の情や心に兆す意欲・思念なども「行」に含まれる。「行」は当然、道徳的規範に合致していなければならず、そこでは行動として外に表れた不善だけでなく、心内の思念の不善をも克服する厳しさが求められる。これらを実現する心が、王陽明のいう「良知」である。[杉山寛行]

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世界大百科事典内の知行合一の言及

【中国哲学】より

…王陽明によれば,人間の心には先天的に良知が備わっており,この良知を極め尽くすこと,すなわち〈致良知〉が聖人に至る道である。さらに知の意味を説いて,単なる見聞の知は真の知ではなく,行を通じてのみ真の知となるという〈知行合一〉の説を唱えた。その学問は主観主義的な心学の性格が強く,禅宗色が濃厚である。…

※「知行合一」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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