住吉派(読み)すみよしは

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

住吉派
すみよしは

江戸時代におけるやまと絵一派。京都の土佐派に対し江戸で江戸幕府の御用絵師をつとめた。寛文2 (1662) 年に土佐派から独立して住吉家を興した広通 (如慶) を祖とする。住吉の名は,根津美術館蔵『新因果経絵巻』 (1524) の筆者である鎌倉時代の絵師慶忍が住吉の住人であったことに起因。土佐光吉・光則の門人と推定される広通は如慶の号を用い,当時の土佐派様式に風俗的な叙述性を加味した画風を築いた。如慶の子の広澄は具慶と号し,幕府の奥絵師に任じられ江戸に移住。その後広保,広守,広行,広尚,弘貫,広賢と奥絵師を世襲し門人も多く出た。住吉派の遺品は絵巻,屏風,掛物などが多く,土佐派よりも写実的で生々しい画風を示す。住吉派の模本記録類は,現在東京芸術大学などに伝わる。

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世界大百科事典 第2版の解説

すみよしは【住吉派】

江戸時代の画派。土佐光吉・光則門人の広通(住吉如慶)が,後西天皇勅命により1662年(寛文2),鎌倉時代中期の伝説的な画家住吉法眼慶忍(恩)を遠祖として住吉姓を名のったことに始まる。如慶の長男具慶が85年(貞享2)徳川幕府の奥絵師として江戸へ移住して以来,京都の土佐家に対し,江戸におけるやまと絵系画派の中心的な存在として繁栄した。その画系は具慶以後広保,広守,広行,広尚,弘貫,広賢と,幕末・明治まで続き,門人も多かった。

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大辞林 第三版の解説

すみよしは【住吉派】

大和絵の一派。如慶が土佐派から分かれて一派をなしたもの。京の土佐家に対し、江戸での大和絵の中心をなし、狩野家と並んで幕末まで幕府の御用絵師を務めた。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

住吉派
すみよしは

江戸初期に住吉如慶(じょけい)によって創始され、明治まで続いた大和絵(やまとえ)系の画派。如慶とその子具慶(ぐけい)が有名。[加藤悦子]

住吉如慶

(1598―1670)名は広通または広道。通称内記。堺(さかい)の出身で土佐光陳(とさみつひさ)といい、京都の大和絵の画家。土佐光吉(みつよし)の門人(一説にはその子で、光則の弟ともいわれる)であったが、1661年(寛文1)に剃髪(ていはつ)して如慶の号を賜り、さらに後西天皇(ごさいてんのう)の命で、鎌倉中期の画家、住吉慶恩(慶忍とも)の画系を復興するために姓を住吉と改めた。如慶は、穏やかで細緻(さいち)な土佐派の画風を踏襲しつつ、親しみやすい人物描写や漢画的な表現に本領を発揮した。また幕府の御用絵師として関東にも赴き、この地に大和絵の伝統をおこした。『東照宮縁起絵巻』『虫歌合絵詞』などの遺作がある。[加藤悦子]

住吉具慶

(1631―1705)如慶の子。名は広純、のちに広澄、内記。1683年(天和3)江戸に召し出されて1685年(貞享2)には幕府の奥絵師に任じられ、このため住吉派は京都の土佐派に匹敵する画派に成長した。父の画風をよく受け継いだが、人物の表情はより誇張され、その現実感豊かな描写は同時代の風俗を描いた『都鄙図巻(とひずかん)』『洛中洛外図巻(らくちゅうらくがいずかん)』などによく生かされている。
 同派は以後、広保、広守など明治まで存続するが、守旧性に終始して目覚ましい展開はみられない。4代広守の門下であった慶舟(けいしゅう)は板谷(いたや)家を、同じく慶羽は粟田口(あわたぐち)家をたててそれぞれ一家をなした。[加藤悦子]

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世界大百科事典内の住吉派の言及

【やまと絵】より


[近世以降]
 室町幕府の御用絵師をつとめた狩野正信を始祖とする狩野派をはじめ,室町末~桃山期には漢画派が隆盛するが,江戸初期には土佐光吉が古典的な主題を豊麗な色彩で描き,ついで土佐光則は繊細な細密画にやまと絵の特色を発揮した。その子光起は断絶していた絵所預に復帰し,京都を中心として新しい土佐派様式を確立,さらに光吉の門人如慶は住吉派を興し,その子具慶以後,代々江戸幕府の御用絵師として,同じくやまと絵の画系を継承した。近世初期の俵屋宗達に始まる琳派もまた,古典的な主題や伝統的なやまと絵様式を創造の糧として装飾的画風を打ち立てた。…

※「住吉派」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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