住吉郷(読み)すみのえごう

日本歴史地名大系 「住吉郷」の解説

住吉郷
すみのえごう

和名抄所載の郷。同書高山寺本・東急本とも訓を欠く。東急本が播磨国明石郡の同名郷を「須美与之」と訓じるのをはじめとして同書は「すみよし」と読む例が多いが、摂津国住吉郡が「万葉集」に収める歌に「須美乃江」などと詠まれるので、「神戸市史」に従い「すみのえ」とする。郷域について「摂津志」「大日本地名辞書」は住吉すみよし(現神戸市灘区・東灘区)にあて、「日本地理志料」は住吉、野寄のより岡本おかもと片町(現東灘区)の諸邑を山路やまじ庄と称し、その地にあたるとする。

住吉郷
すみよしごう

「和名抄」高山寺本に「住吉」と記し、訓を欠く。刊本は「須美与之」と訓じているので、「すみよし」と称していたと思われる。同名の郷は摂津・播磨にもみられる。「新抄格勅符抄」の大同元年(八〇六)の牒によると、住吉神社の封戸二三九戸中長門国には六六戸みえ、また「延喜式(神祇)の臨時祭の項に「凡住吉社長門国封租穀者、令封戸徭夫運送」とあることから、住吉神社の神戸ばかりで構成した郷であろう。

「日本地理志料」は、「和名抄」が独立した郷として住吉・神戸と記載するのは誤りで、住吉神社に所属する神戸という意であるから「住吉神戸」とすべきであるとするが、四字の郷名は他に例がないので肯定できない。

住吉郷
すみよしごう

「和名抄」所載の郷。東急本の訓は「須美与之」。「釈日本紀」所収「播磨国風土記逸文に「住吉の大倉向きて」とあり、現明石市大蔵谷おおくらだに付近が郷域と察せられる。「大日本地名辞書」には「押部谷の畑田に住吉祠あれば、彼辺かとも云ふ」とあるが、畑田は細田さいた(現神戸市西区)の誤記であろう(細田に住吉神社あり)

住吉郷
すみよしごう

「和名抄」所載の郷。高山寺本は「任吉」とする。東急本の訓は「須美与之」。「播磨国風土記」にはみえない。「住吉大社神代記」が「賀胡郡阿閇津浜一処」を摂津住吉社領として記すことからすれば、「大日本地名辞書」が明治二二年(一八八九)成立の二見ふたみ(現明石市)および同阿閇あえ(現播磨町全域)に当てる説は妥当で、現明石市二見町地区と播磨町の海岸一帯とその後背地域が郷域であろう。

住吉郷
すみよしごう

「和名抄」所載の郷。「播磨国風土記」にはみえない。「延喜式」神名帳に載る賀茂郡八座のなかに住吉神社がみえる。「住吉大社神代記」には摂津住吉社領として「播磨国賀茂郡椅鹿山領地田畠」が記されており、風土記にいう端鹿はしか里がのちに当郷となったものか(→端鹿里

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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